振付、演出家。ニューヨーク市マンハッタン在住。広島出身。
バイリンガル秘書になるために神田外語学院英文秘書課卒業後渡米。留学先の短大で受けた体育の授業でモダンダンスに出会う。マサチューセッツ州のハンプシャー大学に転入し、本格的にダンスと振付を専攻する。大学卒業後、ダンサーとして様々なプロジェクトに参加、ニューヨークとアムステルダムで踊る。ニューヨーク大学の演劇学部実験演劇課に特待生として1年間在籍し演劇を学んだ後、1990年代後半から振付家として作品をダンスシアターワークショップ、キッチン、PS122などでの定期的に発表。グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、マサチューセッツ現代美術館などからコミッションを委託される。
2003年より、宗家藤間勘十朗派、世家真流家元、世家真ますみ氏に日本舞踊を師事。歌舞伎役者等の伝統舞踊家とニューヨークのコンテンポラリーダンサーの共同制作のため、現在アメリカと日本を行き来している。同プロジェクトTyler
Tyler は2010年3月、ダンスシアターワークショップでプレミア公演が行われ、同年10月に、アメリカ国内ツアーとパリの Theatre
de la Ville で公演が予定されている。現在、ニューヨークのアートスペースThe
Kitchenのキュレーターを非常勤で勤め若手アーテイスト養成プログラム、ダンス&プロセスをまかされている。昨年より、ムーブメントリサーチ(注1)のボードメンバーを勤める。
2003年発表のソロ作品 Shuffle でベッシー賞受賞。続いて2006年発表の、what we when we
で再度ベッシー賞を受賞する。2006年度のニューヨーク市芸術助成基金、2007年度のBAXTen
Award、2008年度のコンテンポラリーアート財団フェローシップ(注2)、2009年度のジョン
サイモングッゲンハイム記念基金の特別研究員フェロー(注3)に選ばれる。他に、グリーンウオール財団、ジェローム財団、ロックフェラー財団、国際交流基金、クリエイテイブキャピタル(注4)などから、サポートを受けている。マップインターナショナルプロダクションズ所属。
日本での活動は、一時帰国中の短期ワークショップなどだけで、本格的な公演活動はこれまで行ったことがない。リハーサル中の怪我の治療費に充てようと、一時帰国中に書いた自伝小説「一生に一度だけの」が審査員である瀬戸内寂聴氏、佐木隆三氏から高く評価され、1990年、森鴎外記念自分史文学賞大賞を受賞し、同作品は単行本として学習研究社から出版された。翌年、その作品をベースにしたニューヨークでの生活を描いた75分のドキュメンタリー番組が制作され、フジテレビ系列で全国放映された。
注1)Movement Research
ダンス、身体表現の実験的な創作プロセスを援助するためにアーテイストによって設立され、アーテイストによって運営されるダンスアーテイストの非営利団体。アーテイストの創作プロセスを重視、かつ、援助し、ニューヨークのダウンタウンにあるジャドソン教会にて、毎週月曜日、無料でパブリックにパーフォーマンスを提供するプログラムには、世界中からあらゆる身体表現者が訪れ、常時発表を行っている。数人の常勤スタッフと、ボードメンバーの役員で運営されている。
注2)Foundation for Contemporary Arts Artist Fellow 1960年代、ジョン ケージ、ジャスパー
ジョーンズ、ロバート ローシェンバーグなどのコンテンポラリーアーテイスト等によって、芸術家のサポートとアートコミュニテイの環境を擁護するために設立された芸術基金。毎年、演劇、ダンス、音楽、ヴィジュアルアート、詩作の部門から数人が推薦され選出される。
注3)John Simon Guggenheim Memorial Foundation Artist Fellow
グッゲンハイム特別研究員プログラムは、カナダ、アメリカに在住の3千以上の応募者から芸術家、学者、科学者に毎年数名贈られる。それぞれの分野の専門家である何百人の顧問たちの推薦と、元特別研究員も在籍している理事会の承諾を得て選出される。
注4)Creative Capital
1990年初頭、国立芸術基金(NEA)が芸術家の個人的経済支援をとりやめたことに対して、表現の自由が社会的に規制される事なく追求できるように、アーテイスト個人へ投資し、アーテイストが社会的に経済的な自立できるように長期的な視点でサポートすることを目的とした芸術助成団体が設立された。アンデイ
ウオホール財団から莫大なサポートを受け、はじめてインターネットでの申請を可能にし、年間数千人の中から厳選された芸術家を数年に渡って様々な援助を提供する画期的な芸術助成プログラムとして知られる。 |