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受講者レポート「はじめての韓国舞踊」 | BLOG | NPO DANCE BOX

2020.9.16

受講者レポート「はじめての韓国舞踊」

REPORT

劇場の広さをいかして、感染対策に気をつけながら、ダンスを楽しむプログラム「劇場でダンスをはじめよう」。踊る楽しさを存分に味わいながら、身体と心をほぐしていきまます。開講されているのは、バレエやアフリカンダンス、韓国舞踊などの入門編のクラス。

初心者向けとはいえ、初めてダンスに挑戦することや、新たに教室に通うのはやっぱり少し不安。そんな心配を解消するために、今回、神戸大学2年生のインターン、松下いのりさんに、「はじめての韓国舞踊」を受講し、レポートを書いていただきました。

こちらを参考に、参加してみたいプログラムを選んでみてくださいね。
https://db-dancebox.org/program/


 

「はじめての韓国舞踊」体験レポート


 まず初めに、「劇場でダンスをはじめよう!シリーズ」のチラシにみられる工夫について話したい。このチラシは韓国語、ベトナム語、英語、日本語の4カ国語で書かれているのだ。

 

2019年3月5日の神戸新聞によると、市内在住の外国人数は2018年10月末時点で約4万8千人もおり、ベトナムをはじめアジアからのニューカマーが増加しているという。ダンスボックスが拠点をおく長田区も、ベトナム人をはじめ、多くの外国人が住んでいる。自分の住んでいる町で、母国語を見つけたとしたらどんな気持ちになるだろう。海外で日本語を見つけた時に感じる、安心感や嬉しさを想像してみてほしい。母国語が書いてあるというだけでわくわくとした気持ちになり、興味を引くのではないだろうか。複数の言語で書くことによって、興味をかきたて、さらに魅力的に見せていると考えた。
 続いて、そのダンスシリーズの1つ、「はじめての韓国舞踊」の体験レポートにうつる。これは在日コリアンである趙恵美先生によるレッスンである。レッスンは基本的に日本語で行われるが、ダンスのカウントや挨拶などには韓国語が取り入れられていた。韓国語の音の響きや味わい感じながら参加することができた。


 韓国舞踊を始める前に、およそ30分かけてストレッチする。韓国舞踊は、日常の動きが舞踊となったものだ。体を動かして魅せる、ダンスのためのダンスではなく、その舞踊の所作の一つ一つが日常生活の動きから来ている。そのため、最初のストレッチもダンスの可動域を広げるためにする、身体をぐいぐい伸ばすようなストレッチというよりかは、日常的なマッサージのようなストレッチである。「手当て」という言葉があるように、手を当てることによって体を癒すようにほぐしていく。足の爪先から順に、足の裏、足首、ふくらはぎ、膝、太腿、太腿の付け根までしっかりと手を当てていく。じっくり片足ずつほぐすと、ほぐした足とまだほぐしていない足の軽さの違いがはっきりとわかった。このことがとても印象的だったため、帰宅したら真っ先に母に伝えようと筆者は心に決めたものだった。


 次に、韓国舞踊の基本的な動作に入る。先ほども述べたように韓国舞踊は所作が日常生活からきていることから、一つ一つの動作に意味があり、その動きには生活に根付いた考え方がある。例えば、左右の手は対極を表し、陰と陽、太陽と月、男性と女性などを表すという。この考え方を、身体を使いながら感じ取るため、左右の手を体の前でおにぎりを握るように軽く上下に近づけ、手の位置を交互に入れ替える動きをする。そしてそのおにぎりを握るような動作を継続させたまま、徐々に手を体から横方向に広げていく。たとえ両手が離れていたとしても、この動きをすることによって両手の連動性を感じることができるのだ。ダンスの形から入るのではなく、意味を含めた動きから入ることによって、韓国舞踊の深みとおもしろさを感じることができた。


 手の動きの次は、足の動きに入る。舞踊は民族衣装を着て踊っていた事から、その動きには衣装の名残がある。例えば、日本舞踊では着物を着て踊るため、踊り手は内股で踊ることが多い。着物の幅でしか足が動かせないからである。一方韓国舞踊は、チマチョゴリというふんわりとしたズボンが衣装であるため、基本的に足は外股にする。屈伸するときだけ、通常は外にいく膝を内側にぴったりと寄せて座る。この動きによって、足の間を閉じて女性らしく美しく見せるだけでなく、内腿に力が入り、自然と丹田を意識した動きになるのだ。こういった韓国の考え方やダンスの由来を聞きながらレッスンが進行されるため、韓国という国や、韓国舞踊が成立していった歴史に思いを馳せながら実際にその動きを体験することができる。


 最後は、いよいよ実際に踊る。今回は鶴の舞の導入部分をした。基本動作をふまえた上で、鶴が今何をしているのかという説明とともに、鶴の舞を実践してみる。飛んでいる、獲物を探している、歩いている、そんな鶴を、先生を含めた参加者全員で演じる。劇場いっぱいを使ってぐるぐるとみんなで円になり飛び回るのは非常に開放的な心地がして楽しかった。同じ動作をすることによって、初対面だったが参加者同士のつながりが芽生えたことも感じた。みんな、少し息を切らしながら笑顔でレッスンは終わった。


 たとえ言語や文化が違ったとしても、ダンスという身体コミュニケーションによって心の壁を薄くし、ダンスを通して考え方を知ることでお互いの文化を尊重しあうことができる、そんな作用を生みだすダンスボックスのような場所があってほしいと感じた。ダンスだけでなく、すべての芸術という分野による異文化理解の無限の可能性を感じさせられた。日本とは違う韓国の考え方、文化、そういったことを感じた、充実した1時間であった。

           神戸大学国際人間科学部発達コミュニティ学科所属 松下いのり


参考文献:2019年3月5日神戸新聞「神戸市が在住外国人支援 区役所で多言語対応など」
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201903/0012117932.shtml

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