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RRAレポート mazukagasu&Nishi Junnosuke

劇場〈ArtTheater dB KOBE〉を拠点に、自身の表現探求や身体の鍛錬のためのリサーチやダンストレーニングなどを行う『dBリサーチ・レジデンス・アーティスト』。2025年度は4月〜6月の約3か月間に16組のアーティストが滞在します。

今回は、4月〜6月にかけて滞在したMazukagasu&Nishi Junnosukeさんの滞在記録を公開します。

Mazukagasu&Nishi Junnosuke

【滞在期間:4月25日(金)、4月26日(土)、5月9日(金)、6月16日(金)~6月24日(土)

4月25日

 ・6月23日に向けてのリハーサル
・RRAの山口なぎささんのクリエーションに参加させていただきました。
 リハーサルをドローンで撮影し、トレーラー映像として編集。
・RRAの福永将也さんのクリエーションで撮影したものを鑑賞。

 

4月26日

 ・小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク さんの クリエーションに少しだけ参加させていただきました。(お話・撮影)

 

5月9日

 ・商店街周辺で写真撮影・リサーチを実施しました。

 

6月16日

 ・新長田入り
 京都からは車で、まるで夜逃げのような量の荷物 -自転車や撮影機材を積み込んでの移動でした。

 

6月17日

・神戸市立新長田図書館で、地域に関する資料を調査しました。
・どこから、どこまでが「新長田」なのかを感じながら、車で近辺を回って土地の感覚をつかむリサーチ。

 

6月18日

・新長田の街を歩き回り、自分自身の思考と対話しながら自分を探りました。
・東京からダンサーの十川さんと米田さんが新長田入り。

 

6月19日

 ・展示に必要な物品を取りに一時自宅へ戻る(4時間ほどの離脱)。

 

6月20日

・イベント「音と声を重ねる実験の日」で、言葉の展示実験を実施。
・コンペ提出作品の劇場内リハーサルを行いました。


20日の展示で配布したマップ

 

6月21日

 ・地蔵院で、 6月23日に向けてのリハーサルを行いました。

 

6月22日

 ・地蔵院で、 6月23日に向けてのリハーサルを行いました。

 

6月23日

 ・オープンスタジオ「20分作品のコンペ提出に向けた撮影と公開リハーサル」を実施しました。

 

6月24日

・帰郷

 

Mazukagasu & NishiJunnosuke は、滞在記録を公開中です。是非ご覧下さい!

https://sites.google.com/view/2025dbmazukagasunishijunnosuke/mazukagasu-nishi-junnosuke

 


 

Q1 レジデンスの目的を教えてください

当初は「企画・広報・集客・アフター体験」の流れに沿い、劇場導線や観客動線の見直し、SNSや予約導線設計を通して舞台芸術と観客との関係性を探る実験を想定していました。しかし、レジデンスでの意義や、地元ではない地域、どう活動が出来るかを考え、dBの担当スタッフと話をしながら「Mazukagasu」「Nishi Junnosuke」が各々制作、発表をしてみて、その後「企画・広報・集客・アフター体験」について考えてみよう。となりました。

 

 

Q2 どのようなリサーチや実験を行いましたか?

⬛︎Mazukagasu:

街を歩いたり、自転車で回遊したりして土地の雰囲気を感じ、その感覚と自分自身の意識とのズレを探求しました。
特に、目的を設定せずに過ごす“無為な時間”にフォーカスするという実験を行いました。

 

⬛︎NishiJunnosuke:

・まず街を知る
いつも使う場所―― イオンやファミレス、ホームセンター。
まさに「新長田っぽくない」けど、確かにここにある生活圏の場所。
今回は、そういうところへも何度も足を運んでみました。
劇場や宿との何度目かの往復も含め、車や自転車、徒歩などさまざまな移動を重ねる中で、「行き来する」という行為そのものが、街を知る手がかりになってくる感覚がありました。
これは以前、いわきアリオスで〈んまつーポス〉と一緒に取り組んだ「ダンス採集」の企画のときにも鮮明に感じていたものです。
んまつーポスは、湯本の商店街や平のまちなかを訪れ、そこで出会った人々や職人の(毎日行う鍛錬された)動きの種を拾って、即興でダンスを構成し映像作品にしていました。この時、劇場から距離的に離れていた湯本までを自転車で走行する映像を挿入しました。
自転車で行くことで劇場からどのくらい離れているかを体感し、逆にその町からどのくらいで劇場に行けるのか。
汗を感じながらその土地へ身体を重ねることで、場との距離感や時間の流れを実感できたのを覚えています。
今回の新長田滞在でも、自分なりの距離で街を体感してみました。
また新長田に入る前に、宮崎・鹿児島・兵庫(豊岡)の地域にいましたが、同じチェーン店でもある場所や広さ、見え方は、当たり前かもですが全然違いました。日常的にいつも使う場所 – イオンやファミレス、ホームセンター。
「新長田っぽくない場所」
そういうところへも何度も足を運びました。
劇場や宿との往復も含め、車や自転車、徒歩などさまざまな移動を重ねる中で、「行き来する」という行為そのものが、街を知る手がかりになってくる感覚がありました。
これは以前、んまつーポスと一緒に取り組んだ「ダンス採集」(んまつーポス×いわきアリオス『ダンス採集 〜湯のまち常磐編』)の企画で個人的に感じたことに似ています。

「ダンス採集」は、湯本の商店街や平のまちなかの人々と、その人の職人の(毎日行う鍛錬された)動きの種を拾って、んまつーポスが振付をして構成し映像作品にしていました 。
そのワンシーンの中で、劇場から距離的に離れていた湯本までを自転車で走行する映像を挿入しました。
自転車で行くことで劇場からどのくらい離れているかを体感し、逆にその町からどのくらいの時間で劇場に行けるのか…
汗をかきながら移動することで、距離感や時間の流れを実感できたのを覚えています。
今回の新長田滞在でも、自分なりのいろいろな移動の仕方で街を体感してみました。

リンク:【#おうちでアリオス】ダンス採集 〜湯のまち常磐編 (Youtube)

 

・撮る 踊る

6月23日に発表した「Take One! Two?」の 共同制作・振付をした十川さんと米田さんとは、作品で映像を使うこと決めて制作に挑みました。
TikTokのような15秒・30秒の短い動画を参考にしながら、どんな場所で、どんな踊りをどう撮るか -その組み合わせや構成のパターンを一緒にリサーチしてもらいました。
短い時間で短い踊りを映像に詰め合わせてみる。
そういったことを二人と一緒に試しながら、制作を進めました。

現代における映像の感覚や、映像というコンテンツで届くものの可能性を考えながら、
舞台とは、また違うリズムや見せ方をどう立ち上げるかに挑戦しました。


撮影時に使用していたカメラ機材

 

 

Q3 印象的な瞬間(エピソード)があれば教えてください。

※お互いの制作をみた上で

⬛︎Mazukagasu:6月23日|「Take One! Two?」の撮影について。

6月23日オープンスタジオ「20分作品のコンペ提出に向けた撮影と公開リハーサル」では、撮影班として参加。10人程のお客さんがいる中で行いました。上演したものの振り返りを見ていただいた方、出演していた人たちで共有する時間がとても有意義でした。何か技術的なことや難しいことを、聞いたり答えたりしないといけない空間じゃなかったように感じて、自分が何を感じ取ったかだけでも良いんだなって自分がなっているのが、よかったです。


NishiJunnosukeのオープンスタジオでの写真

⬛︎NishiJunnosuke:6月20日|「音と声を重ねる実験の日」について

この日は、菅さんにとって初めての「個人での展示」でした。
もともとは「音」と「声」の持つ実感を、身体でどう扱えるかという実験から始まったリサーチ。でも進めていくうちに、展示には立体物や映像も必要と感じ、それらを持ち込んでの展示へと広がっていきました。舞台で役者として立ってきた菅さんが、「展示」という場に身を置いたことで、これまで見えていなかった動き方や佇まいが浮かび上がってきたように感じました。中でも印象的だったのは、菅さんが「使い切れなかった化粧品」を展示していたこと。その前に人が集まり、菅さんがどういうアーティストかを話しながら化粧品の試供をしていた場面。新長田にレジデンスをしながら、始発で京都(菅さんの自宅)に向かい、スーツケースを引いてまた新長田に帰ってくる。そして、その荷物を広げて展示を作るという時間の流れ。役者やこれまでの菅さんにとっては違う流れの生き方をした1日だったのではと思いました。


Mazukagasu「音と声を重ねる実験に日」で展示した化粧品たち

 

 

Q4 今回のリサーチで収穫はありましたか?

⬛︎Mazukagasu:

「何もしない時間」の価値を初めて実感しました。普段は仕事や人間関係に追われる中で、本当に何もしなくてよい時間、生まれるままを見守る状態が“救い”であると感じました。歩くこと、写真を撮ること、自分を提示すること──存在しない、考えなくてよい時間に身を置くことができました。

 

⬛︎NishiJunnosuke:

今回のリサーチでは、本当にたくさんのことを調べたり、試したりすることができました。失敗もたくさんしました。
これまでにも小さい劇場やスタジオでの企画は何度か経験してきましたが、今回のように大きな会場とスタッフが関わる規模感の企画は、ほぼなく、また、新長田には、観客として来たり、誰かの作品に協力したりする上で劇場に行くことはよくありましたが、自分が関わる作品として滞在・制作するのは今回が初めてでした。そういった意味でも、初心に戻るような気持ちで、いろんな考え方を試せたのはよかったと思っています。

レジデンスは4月・5月・6月と3回に分けて行いました。
何度か通ったことで、つねに頭の片隅に新長田がありました。何度も京都で新長田の話を菅さんとしたことが記憶に残っています。。
特に、「別の地域」で今回のレジデンスアーティストとお会いした時に、この企画の話をしながら交流を深めたことはよかったことだと思います。
現場に入ってから、劇場で何が出来るか、この街で何が出来るかをメンバーとたくさん話をしました。
[街でPVを撮る] は今回出来ずでしたが、今回のクリエーションメンバーは新長田出身の方だったり、縁のある人が多く話を聞きながら、勝手に懐かしい気持ちを感じ、クリエーションに挑めました。

 

Q5 dBスタッフ鈴木と撮影した写真について / 撮影場所を決めた理由は?

「地蔵院の入口」

リハーサルでお世話になった場所で、そこでの撮影が自然な流れだったからです。

撮影開始直前に、昼食後のクリエーションメンバー(十川さん、米田さん)と合流して、せっかくなのでと4人で撮影をしました。
衣装候補の衣装を着て撮影。蚊が大量発生していて、刺されながらの撮影となりました。


22日地蔵院でのリハーサル

 

Q6 今後の展望を教えてください。

⬛︎Mazukagasu:

他者と関わる前にまず「自分自身を理解する」という段階が自分には必要で、クリア出来ていない部分で、省略するのは人生において困難だと感じました。自ら選択し、問いながら対話を進める必要があると考えています。

⬛︎NishiJunnosuke:

「企画・広報・集客・アフター体験」という部分に立ち返り、年内自分が関わるイベント、フェスティバルや自主制作を通して考え、活かせたらと思います。
また今回の23日におこなったパフォーマンス・クリエーションを菅さんに撮影したものをコンペティションに提出したので、ぜひ通過して…ブラッシュアップしたものを発表したいです。

 


 

リサーチパートナー(敬称略)

リサーチパートナー&ダンサー:

相原美紀(演出家)
十川大希(ダンサー)
米田くるみ(ダンサー)
天野光雄(ダンサー)
恵風(演奏者)
三浦あさ子(照明家)
青柳美乃里(ダンサー)

会場:

地蔵院(https://www.jizoin.jp/


 

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会

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