【レポート③】国内ダンス留学@神戸 for TEENS
国内ダンス留学@神戸 for TEENS とは・・・
2024年8月4日(日)から10日(土)の7日間、DANCE BOX / ArtTheater dB KOBEを拠点に、8種類のダンスワークショップと 公演に向けた作品づくりを行ないました。6期目となった今年度は10歳から16歳の通し参加者12名と、5歳から12歳まで の単発参加者6名の計18名が参加。素直で、個の強さが光る瞬間や互いに刺激し合う瞬間が多く、とても濃密な7日間を 送りました。
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8/6 スケジュール
・アラン・シナンジャ「アフリカンダンス」
・趙恵美「韓国舞踊」(ジュニア)/小松菜々子「フロアトレーニング」(ユース)
・中村駿&武井琴「クリエーション・リハーサル」
『国内ダンス留学@神戸 for TEENS』3日目。
今日からジュニアコースとユースコースとコースごとに分かれて実施するクラスも始まりました。覚えることも、身につけていく知識も、やりたいことも、どんどん増えていく日々です。レポートはDANCE BOXインターンの豊岡芸術文化観光専門職大学生3名に書いていただきました。
10:00‐11:30 アフリカンダンス
西アフリカ・トーゴ出身のアラン・シナンジャさんのネイティブランゲージの一つであるモヴァ語のおはようの挨拶「DONGUAME!」のレクチャーからクラスは始まりました。
足裏で大地を感じ低い重心で素早い動きを可能にする独特の基本姿勢、そしてカウントに囚われない柔軟なリズムの取り方に、子どもたちも初めは少し苦戦した様子…しかしアランさんの陽気な掛け声と「一人ひとりの身体は全く違うのだから、同じ踊りを目指す必要はまったくない!自分の身体の面白さを見つめて、その面白さを踊りを通して他の人にも見せてほしい」という言葉に、子どもたちの身体も徐々に音楽に乗ってきました。特徴的な足のステップが組み込まれた前半とステッキを使った後半のダンスをつなげて、最後は向かい合って踊りました!遠く離れたアフリカのリズムが子どもたちの身体を揺らし、ダンスを通して新たな文化と出会う特別な体験となりました。(すずの)
12:15-13:45 韓国舞踊
ジュニアコースの2コマ目は、趙恵美さんによる「韓国舞踊」を行いました。まずは韓国の民族楽器である「枝鼓(チャンゴ)」の説明があり、この楽器を室内で使う時は手で打ち、屋外で使う時はバチで打つことなどを教えていただきました。次に、韓国舞踊独特の呼吸を用いたストレッチを行い、韓国の正座である胡座を組んで足裏から手の指の先、頭までゆっくりと入念にほぐしてニュートラルな姿勢を意識しました。最初はスタジオを駆け回っていた元気いっぱいの子どもたちもだんだん落ち着いた状態になり眠たくなってしまうほどリラックスしていましたが、呼吸を通してしっかり自分の体と向き合うことができているようでした。また、立った状態でも丹田を意識することで先程の呼吸を忘れないようにし、韓国舞踊の歩き方を習ってからも呼吸を意識しながらステップを踏みました。最後は振付に挑戦し、習ったことの応用を効かせながら花を持って踊りました。(ひびき)
12:15‐13:45 フロアトレーニング
ユースコースは小松菜々子さんのフロアトレーニング。最初にバレエやジャズなど大抵のダンスは身体が床と垂直なのに対してフロアダンスは床と平行に動いていくこと、膝などの怪我が多いことが特徴であることを教えていただきました。手始めに、脱力して寝転ぶペアの腕や脚を持って動かしてみて関節の動きや可動域を体感し、その上で自分で脱力しながら思うままにフロアの上を転がってみました。そして負担をかけない身体の使い方でのフロアへの入り方、そこからの立ち上がり方、フロアでの動き方をたくさん教えていただき、身体を思い通り運ぶことに苦戦しながらも床と垂直な状態ではできない動きたちに「新生物!」と盛り上がる子どもたち。最後には自分の名前を創作のベースとして自由に踊ってみることに!フロアをいっぱいに使い、しなやかな動きを披露してくれました。(さわちゃん)
14:00‐16:30 クリエーション
本日のクリエーションは衣装合わせから。
本番に用いる舞台効果なども実際に組み合わせ、一人一人の良さが最大限発揮される衣装を探りました。子どもたちもいよいよ上演が現実味を帯びてきたことを感じて少し落ち着かない様子。衣装合わせのあとは舞台美術の製作を全員で行いました。四肢を自由に駆使して思い思いの表現をする様は過程自体がダンスに溢れていて見ているだけでもワクワクが止まりません。子どもたちの弾けるイマジネーションで出来上がった美術の完成像はどうか本番をお楽しみに!(すずの)
後半は、引き続き振り入れを行いました。昨日のレポートにもあったマテリアル。今日も振りの部分通しをみていると、音、質感、動きなどこちらの五感も刺激されるようです。駿さんの「周りに流されずに、自分の流れに乗って動いてみよう」という言葉に子どもたちそれぞれが自分の意思と共に身体を動かしていました。
朝からずっと活動をしている子どもたちですが、集中力が緩やかにずっと続いていて変わらずにダンスと向き合っています。すっかり互いに打ち解け合い、合間に一緒に振りを確認する場面も。かっこいいところ、それぞれの個性をころころと見せてくれています。昨日までと同じものをフォーメーションを変えて踊ってみたり、クリエーションは進んでおります…!(さわちゃん)
この記事に登場する人
Alain Sinandja
神戸市新長田区在住。トーゴ出身。神戸ダンスボックス主催国内ダンス留学で学ぶため2017年、初めて日本に来日。卒業後も日本に残り神戸を拠点に、西アフリカの伝統舞踊とコンテンポラリーダンスを越境しながら独自の作品を制作している。2018年に自身で立ち上げたダンスフェスティバル「AFRICAN CONTEMPORARY NIGHT」はのちのHappy African Festival(HAF)へと発展し、多くの観客を動員した。2019年に、振付家・下村唯との共同制作を行い、同作品は、横浜ダンスコレクションにて振付賞を受賞。同年、山崎広太によるプロジェクト「Darkness Part 3」に参加、ニューヨーク公演に出演した。現在もダンスボックスの様々な企画に参加し、アフリカンダンスクラスを教えるなど、新長田のコミュニティに深く根ざした活動を継続している。
2023年4月10日 時点
趙恵美
コリアンダンサー/コリアンパーカッショニスト 9歳から舞踊を始め、日本、韓国で様々な舞台に出演。 現在はコリアンダンサーとして、朝鮮と韓国舞踊に軸を置き創作活動を行う。 韓国伝統打楽器奏者としても音楽講師を務める。 舞の旅プロジェクトでは、国籍を外した本当の自分を追求し、舞を通してあるがままの自分を正直に表現する。
2024年5月27日 時点
小松菜々子
自分自身を宇宙の地学的混合物の表出の一つととらえる。”結合する身体”をモチーフに自らの存在を媒介してその場に居合わせたもの同士の繋がりを振り付ける。
今までに余越保子、山田うん、垣尾優、梅田宏明、森山未來の作品にダンサーとして参加 。
2022年度DANCE BOXアソシエイト・アーティスト。
自身の振付作品に劇場と街を地続きに繋ぎ”共有地”として提示する『あわいにダンス』 @ArtTheater dB KOBE(Kobe, 2023)/観客の身体を観客が観察する『Border』@Aoyama Spiral Hall (Tokyo, 2019) など。
2023年4月10日 時点
中村駿
高校入学と同時にダンスを始める。ブレイクダンスをルーツとし、大学時代からコンテンポラリーダンサー・振付家として活動を開始。学校、空港、海外でワークショップを行ったり、街中や競馬場でのパフォーマンス、MV出演、オペラ振付と幅広く活動している。
長塚圭史、近藤良平、森下真樹、遠田誠、鈴木ユキオ等著名振付・演出家の作品に多数出演。
横浜ダンスコレクションEX2014 コンペティションII 最優秀新人賞受賞。
「SAI International Dance Pre Festival 2017」SAI Award (1位)受賞。
東京2020オリンピック開会式出演。
2023年4月6日 時点
武井 琴
神奈川県出身。立教大学 現代心理学部 映像身体学科 卒業。幼少よりクラシックバレエをはじめ、大学在学中よりテーマパークパフォーマーとして活動。「国内ダンス留学@神戸5期」修了後、ダンサー・コマ撮り映像作家として創作活動を開始。「身体」と「映像」を媒体に、歴史や文化、自然、人々の営みを軽やかに切り取る独自の表現を追求。2022年度ダンスボックスアソシエイト・ダンサー。
2023年5月8日 時点