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RRAレポート 小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

劇場〈ArtTheater dB KOBE〉を拠点に、自身の表現探求や身体の鍛錬のためのリサーチやダンストレーニングなどを行う『dBリサーチ・レジデンス・アーティスト』。2025年度は4月〜6月の約3か月間に16組のアーティストが滞在します。

今回は、4月25日〜5月10日にかけて滞在した小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクの滞在記録を公開します。

 

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
【滞在期間:4月25日(金) – 5月10日(土)】

4月25日

[Daily]新長田到着

4月26日

[Research: Movement]フィジカル・カタルシス:フォーム・シンボル

4月27日

[Research: Field Work]下調べ

4月28日

[Creation]原子
[Meeting]dBDRA

4月29日

[Research: Field Work]ながたミステリー?ウォーク・北部編

4月30日

[Meeting]老人ホームはーとぴあ
[Meeting]松原俊太郎

5月1日

[Creation]原子ビジュアル撮影

5月2日

[Research: Movement]フィジカル・カタルシス:トレース

5月3日

[Research: Field Work]「歩いてリサーチする」、空地文庫

5月4日

[Daily]休日

5月5日

[Workshop]3日間のクリエーションワークショップ「問いのダンス」1日目開催

5月6日

[Workshop]3日間のクリエーションワークショップ「問いのダンス」2日目開催

5月7日

[Workshop]3日間のクリエーションワークショップ「問いのダンス」3日目開催
[Performance]『問いのダンス:ArtTheater dB KOBE』上演+トーク

5月8日

[Daily]事務作業

5月9日

[Daily]事務作業、dBスタッフとフィードバック

5月10日

[Daily]新長田出発

 

 


 

 

Q1 レジデンスの目的を教えてください。

2019年より、独自の振付メカニズム「フィジカル・カタルシス」を研究開発。
2022年、その最新フェーズ『バランス』でヨコハマダンスコレクションにて若手振付家のための在日フランス大使館・ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル賞を受賞。
2025年より、「フィジカル・カタルシス」を用いて「ダンス作品」の創造を開始。そのためのリサーチを実施する。

 

Q2 どのようなリサーチや実験を行いましたか?

新長田で「過ごす」こと。
それにより何を得られ、何に興味や関心を抱き、何をクリエーションに還元できる可能性があるのかを探究した。
2024年に88日間フランスパリ周縁のパンタンでのレジデンスを実施したが、その際は「ダンス作品を見まくる」や「文化芸術に触れまくる」という目的があり、「イベント」を前提とせずにただ「過ごす」ということを意識していなかった。
ArtTheater dB KOBEの「場」があり、そこで私たちが持つ手札を使ってひたすら「過ごす」ことを試みた。
対して、新長田に滞在している時間を活用して街を歩き「土地を知る」ことに焦点を充てた。
また、ワークショップで他アーティストと出会うことも、私たちが求めていた体験の一つであった

 

Q3 印象的な瞬間(エピソード)があれば教えてください

毎食ごとに「食べ過ぎた」と思うことが印象的であった。
未だに「何故あんなに、いつも、わかっていながら、食べ終わってから、食べ過ぎてしまったな、と思うのだろう」という感情が渦巻くほど、新長田の「食」に対する私たちの探究心が印象的であった。

 

Q4 今回のリサーチで収穫はありましたか?

目的に対する根拠として、この直後に創る新作「ダンス作品」が、「城崎国際アートセンター」を拠点に「城崎で過ごす」ことを前提とした作品であったことから、この「過ごす」という体験を事前にリサーチ、つまり「リサーチの練習」をできたことは大きな収穫となった。淡々と作品を創りながらも、そこで「過ごす」ことの価値を最大化し、創造とリサーチをゆるやかに混合させるにはどのような過程を経ればよいのか、思索を深める機会となった。

 

Q4 dBスタッフ鈴木と撮影した写真について / 撮影場所を決めた理由は?

私たちはシンボリックなものが大好きなので、新長田のシンボルである鉄人28号と写真を撮ることにした。
いずれ私たちも鉄人28号に並んで等身大の銅像になりたい。

 

Q5 今後の展望を教えてください。

私たちにとって劇場などの「場」と関わることは、アーティストとして活動していて非常に重要な体験の一つです。
近年は「場」を一つの大きな主体で捉えずに、「場」を創る一人一人の皆様と関わっているという意識を強く自覚することが重要であると考えています。そうすることで、一人一人の皆様が「場」と私たちをどのように繋げようとしてくださっているのかがよく見えてきます。
私たちからも意欲的に「場」に対して還元できるものを提案し続けていきたい所存です。
率直に、私たちの力だけではすでに限界があることもわかっています。
「場」の皆様のサポートを継続的にいただきながら、私たちの活動に包括的に伴走したいと思っていただけるような体制を築き上げることがここ数年の第一目標です。
そして、行く先々それぞれの場所でそれぞれのプレゼンスを確立し、さらに多くの素晴らしいクリエイターたちと出会い、協働し、まだ見ぬ傑作を生み出し続けていくための基盤を醸成したいと思います。
これまで私たちの活動に興味を抱き、協働をともにしていただいている皆様や、観客の皆様に対して様々な形で還元し続けていけるような体制を創り上げることが、私たちの芸術人生において成し遂げなければならない展望の全貌だと考えています。

 


 

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクは、「国内ダンス留学@神戸11期」Newcomer/Showcase #1の招聘アーティストとして、2025年11月に新作を上演します。

出演は、11期Dance Resident Artist(現在募集中)です。応募の詳細はこちら。 

 

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会

この記事に登場する人

Dan Bellman

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

二人組の舞台作家・小野彩加と中澤陽が舞台芸術作品の創作を行なうコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念と、独自に研究開発する新しいメカニズムを統合して用いることで、現代における舞台芸術の在り方を探究し、多様な価値創造を試み続けている。固有の環境と関係から生じるコミュニケーションを創造の根源として、クリエーションメンバーとの継続的な協働と、異なるアーティストとのコラボレーションのどちらにも積極的に取り組んでいる。2018年度から2020年度まで、調布市せんがわ劇場 ドラマ・エデュケーション・ラボDEL メンバー。2023年度、芸術文化観光専門職大学 ダンスワークショップ実習B 講師。同年度、吉祥寺シアター ダンス部2023 講師。同年度、DANCE BOX 国内ダンス留学@神戸9期 Dance Makers Camp I 招聘アーティスト。2023年度から2024年度にかけて、映画美学校 言語表現コース ことばの学校 第3期 演習科 創作クラス 専任講師。2025年度、MYOKO SKOOL vol.8 招聘アーティスト。2023年度より、Dance Base Yokohama レジデントアーティスト。

Webサイト:https://spacenotblank.com/

2025年4月7日 時点

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