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RRAレポート 井上徹

劇場〈ArtTheater dB KOBE〉を拠点に、自身の表現探求や身体の鍛錬のためのリサーチやダンストレーニングなどを行う『dBリサーチ・レジデンス・アーティスト』。2025年度は4月〜6月の約3か月間に16組のアーティストが滞在します。

今回は、6月6日〜6月16日にかけて滞在した井上徹さんの滞在記録を公開します。

井上徹

【滞在期間:6月6日(金)〜6月16日(月)

6月6日

新長田到着

6月7日

長田の街を歩いてみる。
「空地文庫」で行われた古代文字のWSに参加する。

6月8日

「神戸コリアン教育文化センター」の展示、図書資料を見る。
「横尾忠則現代美術館」、「C.A.P./KOBE STUDIO Y3/sumico」に行く。

6月9日

本庄町にあるリサイクルショップで靴型を購入し、それらの音響効果を模索する。


リサイクルショップで手に入れた用途不明(だった)の靴型

6月10日

靴型を使用して実験をする。 

6月11日

午後にCreative unit DORの代表:岩本順平さんのアテンドにより靴工場見学をさせてもらう。
アルミ製の靴型をもらう。

6月12日

長田の皮革材料ショップ「神戸リザード」でエナメル合皮を購入。シアターで練習をする。

6月13日

シアターで練習をする。

6月14日

櫻井拓斗さんと共同でオープンシアターを行う。

6月15日

練習後に『三陸 魂のダンス!〜災害に向き合って〜』を鑑賞する。

6月16日

レジデンス最終日、帰宅

 


 

Q1 レジデンスの目的を教えてください

滞在前から長田の街について興味があったので、長田で生活しないと分からない部分を知りたいと思っていました。またサウンドを使った自身の作品に向き合う時間を作ることも目的の1つでした。

 

Q2 どのようなリサーチや実験を行いましたか?

長田の街の歴史、特に靴に関する歴史やその仕事に携わってきた人たちの暮らし、現在の産業の在り方について工場や街の人たちから話を聞くことができました。また、街から素材を手に入れてそこからサウンドオブジェを作り、それらといかに自分の身体を介入させるかについての試作を行いました。


「シューズプラザ」前にある赤いハイヒールのオブジェ

 

Q3 印象的な瞬間(エピソード)があれば教えてください。

リサイクルショップで用途不明の靴型を見つけ、さらにその用途を靴工場で働く方に聞くことができたのは、靴の街ならではの出会いだったと思います。

 

Q4 今回のリサーチで収穫はありましたか?

長田の街で話を聞いたり生活をしているうちに、素材に対する理解が自然と培われていった感覚がありました。
また、サウンドオブジェを使ってパフォーマンスを作るのはこれまでも行ってきたのですが、シアターで試行錯誤する時間があったので、パフォーマンスにおけるオブジェクト同士の細かい関係性にも考えを巡らすことができました。


今回のオープンシアターで使用したアルミ製の靴型

 

Q5 dBスタッフ鈴木と撮影した写真について / 撮影場所を決めた理由は?

「レジデンス施設に向かう途中の橋」

宿泊していた施設から街に出るため、毎日朝と夜に湊川にかかる橋を歩いていました。
夜になると誘導灯の光の動きがあちこちに散らばっているのが印象的でした。

 

Q6 今後の展望を教えてください。

素材に対するアプローチは今後も継続していきます。
レジデンスで実現できなかったものもあるので、どこかで形にしていきたいと思っています。


オープンシアターの様子

 


 

リサーチ協力者(敬称略)

一般社団法人DOR 岩本順平(代表・PHOTOGRAPHER/PRODUCER)
サンナイト株式会社
有限会社 大山

 


 

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会

この記事に登場する人

井上徹

1986年、神奈川県生まれ。 2010年に多摩美術大学絵画学科卒業。2009年よりアーティストコレクティブ「オル太」として活動を始める。土地が持つ習俗や歴史を手がかりに、フィールドレコーディング等の「場」へのアプローチを経てインスタレーションを構築し、作品の中に身体を介在させたパフォーマンスを行う。

2025年6月10日 時点

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