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RRAレポート 武井琴

劇場<ArtTheater dB KOBE>を拠点に自身の表現探求や身体の鍛錬のための実験的なリサーチやダンストレーニングなどを行う、国内ダンス留学@神戸10期『dBリサーチ・レジデンスアーティスト(dB RRA)』。 6月25日〜7月2日に滞在の武井琴さんによる活動記録を公開します。

武井琴 【滞在期間:6/25〜7/2】

 

6/25 新長田到着/打ち合わせ、クリエーション、下町ぐらし研究所「図書部」参加@空地文庫
6/26 クリエーション街歩き&イベントチラシ設置・配布
6/27 極上の朝ごはん体験@はるき食堂、クリエーション
RRAのidea platformの経過発表を見学
✏︎興味深い試みに刺激を受ける。
6/28 「からだのWS」「オープン稽古」 実施、試演会に向けたクリエーション
6/29 空地文庫を訪問、自転車周遊、「WAGOMU Climbing Gym」のビアガーデンイベントに参加
6/30 「バイソン」「はっぴーの家ろっけん」「したまちのえき ロッケン」を訪問
7/1 「からだのWS」「オープン稽古」 実施、試演会に向けたクリエーション 
7/2 「試演会」実施

 


WAGOMUでのセッション

はるき食堂さんの極上の朝ごはん

 

Q1 レジデンスの目的を教えてください
現時点の自分の活動を客観的な視点から見つめるためです。新長田は、国内ダンス留学や動画制作でこれまでに何度も滞在してきた私にとって第二の故郷のような場所。ただ、今回は何か特別な成果を出そうと思わずに、シンプルに街で過ごしてみるということを軸に置いて、生活の中で起こる些細な発見や偶然の出会いに目を向け、それらを他者と共有する中から創作の種を見つけたいと思いました。

 

Q2 どのようなリサーチや実験を行いましたか?
「からだのWS」「オープン稽古」を通じて、パフォーマンスを立ち上げるための実験的な場づくりに挑戦しました。呼吸やイメージを使いながら身体を動かしたり、空間を区切る、物を使うことで生まれる身体感覚や質感を探求しました。参加者の方々と劇場で過ごす時間は多くの発見に満ちて想定外の面白いアイデアと出会うことができました。休日は「WAGOMU Climbing Gym」や西村組さんのアーティストのための集落「バイソン」、介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」を訪問。あらゆる人に開かれた施設の可能性とそこにいる人々の寛容さや温かさに触れる中で多くの発見がありました。

6/28「オープン稽古」dBアソシエイト・ダンサー2022のお二人と

 

Q3 新長田の好きな場所を教えてください
「空地文庫」です。国内ダンス留学(7期)への参加を期に3年前から新長田を拠点に活動しているダンサー・振付家の小松菜々子さんが営む本屋さん。アート関連の書籍や雑誌、小説、哲学書、絵本にいたるまで多様なジャンルの本が並ぶ、街の人々の頭の中の宇宙を覗き込める秘密基地のような場所。近所の子どもたちが自宅の延長線上で安心して過ごせる雰囲気も魅力。たくさん目移りして、旅のお供にぴったりな一冊「貧乏だけど贅沢」とのご縁をいただきました。

空地文庫さんの街の宇宙のような本棚

 

Q4 印象的な瞬間を教えてください
二つあります。一つは人生初のスナックデビューを果たした瞬間。もう一つはWSで素敵なダンスを目撃した瞬間です。劇場のすぐ側にオープンしたスナック「ドン」。お店の扉を開けた瞬間から異世界がはじまり、出迎えてくれるママの佇まいやひっきりなしに訪れるお客さんたちを眺めていると一つの舞台を観ているような特別な体験になりました。からだのWSの中で参加者の方が披露してくれた背中と指先のしなやかなダンスも印象的でした。踊りを通じて人の意外な一面や隠された魅力に出会える瞬間はやはり幸せです。

 

Q5 なにか収穫はありましたか?
最終日の試演会でパフォーマンスと滞在報告を実施しました。発表した15分ほどのパフォーマンスは、劇場やスタジオで過ごした時間をはじめ、街を徘徊する中で見つけたことなど、滞在期間に自分の中に蓄積されていった記憶の断片が日記のようにアウトプットされたかたちになりました。立ち合ってくださった方々から、多様な意見や感想をいただけてとても嬉しかったです。たった一週間ではありましたが、自分という一つの身体を使って、新長田という森の中にどっぷり浸かったような贅沢で尊い体験となりました。

 


7/2 試演会の様子

7/2 試演会 パフォーマンス

 

Q6 今後の展望を教えてください
今回の滞在と発表したパフォーマンスを創作の種にして、今後のライフワークとして継続しながら展開させていきたいです。ダンスボックスやそこで出会える人々と過ごした時間にモチベーションやアイデアをたくさんいただきました。長田周辺で新しいコミュニティやクリエイティブな活動が生まれる拠点が続々と増えているのも面白い。そういった人々のエネルギーが循環する場をつくることにも興味が湧いています。今後もdBや街の人々と関わる中で活動のヒントやアイデアをたくさんいただきたいと思います。

 


協力者

・高瀬瑶子(ダンサー)
・ならさきゆきの(ムーブメントアーティスト)
・長野里音(ダンサー)
・藤田彩佳(ダンスアーティスト)
・増川建太(ダンスアーティスト)
・黒田健太(ダンスアーティスト)
・小松菜々子(ダンスアーティスト)
・三浦あさ子(舞台照明家)
・合田昌宏(したまちのえきロッケン)
・首藤義敬(株式会社Happy代表取締役)
・井上貴博 (株式会社Happy)
・宮本昇(株式会社Happy OUTDOOR LAB事業部)
・吉川史浩 (株式会社Happy OUTDOOR LAB事業部)
・dBスタッフの皆様

この記事に登場する人

Kengo Kawatsura

武井 琴

神奈川県出身。立教大学 現代心理学部 映像身体学科 卒業。幼少よりクラシックバレエをはじめ、大学在学中よりテーマパークパフォーマーとして活動。「国内ダンス留学@神戸5期」修了後、ダンサー・コマ撮り映像作家として創作活動を開始。「身体」と「映像」を媒体に、歴史や文化、自然、人々の営みを軽やかに切り取る独自の表現を追求。2022年度ダンスボックスアソシエイト・ダンサー。

2023年5月8日 時点

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