【レポート④】国内ダンス留学@神戸 for TEENS
国内ダンス留学@神戸 for TEENS とは・・・
2024年8月4日(日)から10日(土)の7日間、DANCE BOX / ArtTheater dB KOBEを拠点に、8種類のダンスワークショップと 公演に向けた作品づくりを行ないました。6期目となった今年度は10歳から16歳の通し参加者12名と、5歳から12歳まで の単発参加者6名の計18名が参加。素直で、個の強さが光る瞬間や互いに刺激し合う瞬間が多く、とても濃密な7日間を送りました。
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8/7 スケジュール
・中西ちさと「ダンスをつくる」
・阪神虎舞「民俗芸能ー虎舞」
・クリエーション・リハーサル
『国内ダンス留学@神戸 for TEENS』4日目。
本日が一週間の折り返し地点です。参加者の書くフィードバックを見ていると、自分の新しい感情に出会えたり、もっとここができた悔しいという感情があったり、さまざまな気持ちに気づいた1日でした。
ダンスをつくる
ジュニアコースの1つ目は中西ちさとさんの「ダンスをつくる」クラス。
90分間のクリエーションでソロダンスをつくるというプロのダンサーでも難しいチャレンジへ子どもたちが挑みました。今回はそれぞれの「大切なもの」を持ち寄り、その「大切なもの」を互いに紹介しました。続いてその「大切なもの」を体に乗っけたり、丸めたタオルをそのものに見立てて手を使わずに隣の人に渡したり、自分にとって「大切なもの」が身体にどんな作用を呼び起こすのか試していきました。続いて「大切なもの」を表現する言葉を紙に書き出して、いよいよその言葉をもとにソロパフォーマンスの創作が始まりました。ペアになった相談役のアドバイスも借りながら、動きを組み立てていきます。
自分の大切なものを見つめてじっと考え込んだり、どんどん動いて流れをつくっていったり、それぞれの創作スタイルがあり、真剣な横顔はすっかりパフォーマーそのものでした。最後にはソロパフォーマンスを互いに披露。ソロでありながらもユニゾンのような調和のある素晴らしい上演となりました(すずの)。
民俗芸能「虎舞」
もう一つのワークショップは阪神虎舞の4人による民俗芸能。震災を機に岩手から移植された阪神虎舞に触れました。舞には虎を被る「練り歩き」と櫂を使う「手踊り」の2つがあるとのこと。練り歩きの基本姿勢は腰を下ろして腕を前に伸ばし、頭が飛び出ないよう腰から指先までを平らにします。人の形が出ないように、虎に見えるように意識してハードな体制にヒーヒー言いながらも挑戦しました。そして実際に練り歩きを披露していただき、迫力ある舞を最前列齧り付きで堪能。子どもたちは近づいてくる虎にワクワクした様子で楽しんでいました。そして実際に虎の中で姿勢を取ってみました。
更に手踊り「大漁唄込」にも挑戦!リズムを音ではなく言葉で取る民謡独特の感覚と櫂を持つ手捌きに翻弄されながらも、ボリュームのある踊りを披露してくれました。震災の記憶を風化させない、保存するための他の地域とのつながりを持つ芸能を学んだ貴重な時間となりました。(さわちゃん)
クリエーション
本日のクリエーションは寝転がって身体をリラックスとリリースのウォーミングアップからスタート。空調の音と駿さんのナビゲーションだけの静かな劇場で自分の身体と向き合いました。
そしてついに駿さんから上演の内容、段取りが各パートのタイトル一覧で子どもたちに公開されました!見慣れない言葉たちが並ぶホワイトボード。かなりのボリュームの中の半分以上を今日実際に稽古しました。蓋を開けてみると今までやってきたワークたちが…!(さわちゃん)
中割幕や前幕も実際に引いて、舞台上での出たり捌けたりのタイミングや立ち位置も確認していきました。幕が揺れてしまわないように出番ではない時も緊張感を保持したり、客席から見えない位置で待機するよう気をつけたり。実際の上演を成り立たせるためには舞台上に出ていないときにも様々なスキルが求められます。大人でも集中力を保持するのが難しい長時間のクラス・クリエーションですが、子どもたちはスポンジのように様々なジャンルの感覚・知識を吸収し、着実に本番へ向かっています。(すずの)
この記事に登場する人
中西ちさと
振付家・ダンサー。パフォーマンスグループ・ウミ下着主宰。
大学在学中にダンスに出会い、創作を始める。国内ダンス留学@神戸1期振付家コース・奨学生。ヨコハマダンスコレクション2021・コンペティションⅠファイナリスト。
ウミ下着の全作品の振り付け・演出を担当。演劇的手法を使ったドキュメンタリータッチの作品や漫画的な誇張表現を使い、遊び心を大切にしたコミカルな作品を得意とする。
近年は振付家とダンサーの関係性を見直し、よりフラットな状態でクリエイションするために「バンド」という形態でクリエイション方法を模索するUmishitagiを発足したり、野外でパフォーマンスをする「ウミ下着の楽しいゲリラ」をしたり、他人の家の一部を私物化し、自分の部屋としてパフォーマンスを行う「わたしのお部屋」等様々な形での身体表現の形を模索している。
釡ヶ崎芸術大学のダンス部講師を経て、現在、釡ヶ崎を拠点に平均年齢70歳以上のダンス倶楽部「みんなの舞活」を立ち上げ部長として活動中。 ダンサーではない人を対象にしたワークショップ、創作活動等も精力的に行う。
2023年3月19日 時点
阪神虎舞
2018年より神戸新長田を拠点に活動し、関西圏を中心に演舞を披露する。 岩手県沿岸部に伝わる芸能「虎舞」を演じることで、震災の記憶の風化に抵抗し、芸能の根源を未来につなぐことを目指す。
2023年4月21日 時点
中村駿
高校入学と同時にダンスを始める。ブレイクダンスをルーツとし、大学時代からコンテンポラリーダンサー・振付家として活動を開始。学校、空港、海外でワークショップを行ったり、街中や競馬場でのパフォーマンス、MV出演、オペラ振付と幅広く活動している。
長塚圭史、近藤良平、森下真樹、遠田誠、鈴木ユキオ等著名振付・演出家の作品に多数出演。
横浜ダンスコレクションEX2014 コンペティションII 最優秀新人賞受賞。
「SAI International Dance Pre Festival 2017」SAI Award (1位)受賞。
東京2020オリンピック開会式出演。
2023年4月6日 時点
武井 琴
神奈川県出身。立教大学 現代心理学部 映像身体学科 卒業。幼少よりクラシックバレエをはじめ、大学在学中よりテーマパークパフォーマーとして活動。「国内ダンス留学@神戸5期」修了後、ダンサー・コマ撮り映像作家として創作活動を開始。「身体」と「映像」を媒体に、歴史や文化、自然、人々の営みを軽やかに切り取る独自の表現を追求。2022年度ダンスボックスアソシエイト・ダンサー。
2023年5月8日 時点