RRAレポート 福永将也

劇場〈ArtTheater dB KOBE〉を拠点に、自身の表現探求や身体の鍛錬のためのリサーチやダンストレーニングなどを行う『dBリサーチ・レジデンス・アーティスト』。2025年度は4月〜6月の約3か月間に16組のアーティストが滞在します。
今回は、4月13日〜4月30日にかけて滞在した福永将也さんの滞在記録を公開します。
福永将也
【滞在期間:4月13日(日) – 4月30日(水)】
4月13日
・新長田到着
4月14日~15日
・ソロでのリサーチ
4月16日~18日
・ワークのシェア(リサーチ協力)
4月19日~20日
・東京での本番
4月21日
・新長田の散策、リサーチ
4月22日~25日
・ワークのシェア、ディスカッション(リサーチ協力)
4月26日
・山口なぎささん ショーイング鑑賞
4月27~28日
・ショーイングに向けた準備
4月29日
・試演会「POV」ショーイング
4月30日
・京都でのWS参加
Q1 レジデンスの目的を教えてください。
作品以前のダンスの実践の過程を、時間をかけて他者を巻き込みながら進めていくことを目的としました。
今年の12月に上演を予定している作品に向け、去年制作した作品をベースに、改めてリサーチテーマを設けました。
Q2 どのようなリサーチや実験を行いましたか?
大きく分けて、
①以前からリサーチしている「身体を左右で切り分け、コピーとオリジナルを遅らせて生成し続ける」という身体の動き方のワーク
②一人称的に見る・三人称的に見られるという状態をどう作れるか、どう行き来するかということをベースにリサーチをしました。
また技術的な試みとして、簡易的なWebアプリを作成し、スマートフォンとPCを遠隔で連携させ、以下の機能を実現し、パフォーマンスに組み込みました。
・新長田や他の場所で撮影した、複数枚の風景の画像をスライドショーで表示し、画面をタップすると再生・停止
・画面上の場所に対応した複数の音源を用意し、横にスワイプすることで再生・停止、上下にスワイプすることで再生速度の変化
滞在期間中に、4人のダンサーの方にリサーチ協力をしていただき、以上の内容でリサーチしました。
Q3 今回のリサーチで収穫はありましたか?
まずは、「一人称的に見る・三人称的に見られるという状態をどう作れるか、どう行き来するか」ということについて実際に動きながら、他人に見られるという時間をじっくり取れたのが収穫でした。パフォーマンスがどう見られるかという根本的なところを探り、テーマに対するアプローチを再検討できました。
また、自分が個人で考え実践していることを他者にどのように共有できるかという問いも生まれ、作品創作とは少し異なる軸で実践できました。
作品に関しては、スマートフォン・アプリケーションを用いるという技術的なことにもトライできました。
今回は画像・音声の操作をスマートフォン上の簡単な操作で制御するという機能を実装しましたが、今後は複数端末での制御、スマートフォンや身体の動きから得られる情報をどう変換させるか、といったことへの検討をしていきたいと考えています。
Q4 dBスタッフ鈴木と撮影した写真について / 撮影場所を決めた理由は?
最初は人気のない商業ビルの中での撮影を考えてその場所に向かっていましたが、途中に駐車場を発見し、なんとなくそこがいいなと思い、決定しました。
Q5 今後の展望を教えてください。
今年はオーストリアでのレジデンス、東京でのワークインプログレス、横浜での公演を控えています。
場所を変えながら、その都度テーマを設定し、実践を続けていきたいです。
舞台芸術やその他の領域の中で、どのような位置を取り活動を続けていくか、探っていきたいと思います。
リサーチ協力者
田代一裕(日本舞踊家)
大西優里亜(振付家/パフォーマー)
天野朝陽(ダンサー)
青柳潤(振付家/ダンサー)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(芸術家等人材育成))|独立行政法人日本芸術文化振興会
この記事に登場する人
福永将也
ダンス、パフォーマンスをベースに、あらゆるメディアによって発生する仕組みを捉え直し、探査することを手掛かりに上演型の作品制作を行う。筑波大学情報学群情報メディア創成学類卒業。ヨコハマダンスコレクション2024コンペティションⅡ最優秀新人賞受賞。
2025年4月13日 時点