(現代芸術創造事業)

12月26日(水)18時半〜21時
シンポジウム「アジアから国際共同制作の可能性を考える」
このシンポジウムでは、「国際共同制作」を行うことの意義を考えることを目的とします。
舞台芸術では、アーティストが作品をつくろうとした時に、振付家やダンサー、時には音楽家、美術家、技術スタッフなどと様々な人と関りあいながら制作します。この過程も共同制作といえます。ある程度共通した環境の中でダンス作品を制作し発表している者同士で作品を制作するほうが、言葉の壁もなく、共通理解も多い中、深くビジョンを共有しながら作品制作を行うことが出来るといえるでしょう。
このシンポジウムでは、異なる言語を介し、異なる環境(言語、生活、歴史、思想)で活動するアーティスト同士が、共に作業を行う「国際共同制作」の意義を考えてみたいと思います。果たして「国際共同制作」はどのような新たな価値観を生み出すのでしょうか。各々のアーティストが抱えるバックグラウンドによっても、その必要さの成果が違ってくるでしょう。
最近は、関西においてもアジアのアーティストとの国際共同制作の事例も増えてきました。欧米志向に偏った舞台芸術を享受し、〈近くて遠い国〉アジアで生み出されている同時代の表現に着目してこなかった中、少しずつ状況が変わってきています。

このシンポジウムでは、今年2007年に行われた関西のアーティストとアジアのアーティストとの「国際共同制作」の事例を挙げながら、進めていきます。実際に経験してみないと分からない事・思考できない事を経験者が語ります。同時に最近のアジアでの国際共同制作の動向に詳しい後藤美紀子氏とDANCE BOXプロデューサーの大谷燠が第3者の視点からコメントを入れながら、多角的に各事例に迫り、問題や課題であったことを挙げて行きます。最後には、それらの問題点を切り口としたパネル・ディスカッションを行います。問題点は裏返せば、「国際共同制作」の意義につながっていく可能性も秘めていること、またそれらの問題点は「国際共同制作」のことだけでなく、舞台芸術を取り巻く環境について考えることに繋がってくるのですから。

1.事例報告

山下残 「cough/せき」 振付・演出:山下残 出演:トンチャイ・ハーンナロン(タイ)
バンコク(タイ)>@7月30日〜8月17日 会場:Siam Society
横浜>A11月25日〜12月2日 会場:創造空間9001(旧東横線桜木町駅舎)

このプロジェクトは、フェスティバルオーガナイザーである【タン・フクエン】が、今年2月に行われた「第3回ITIアジアダンス会議」で、【山下残】の作品映像を見たことから始まる。そして、【タン・フクエン】がキュレーターを務める今年8月にタイで行われたフェスティバル「LIVE ARTS BANGKOK」に、【山下残】を招聘し、バンコクで振付家・ダンサーとして活躍中の【トンチャイ・ハーンナロン】との共同作業を経て『せきをしてもひとり』(タイバージョン)が上演された。 このタイ・バージョンは、【山下残】が『せきをしてもひとり』を【トンチャイ・ハーンナロン】に振付し、タイの身振りや言葉、音楽なども取り入れて再構成した作品である。 その後、再度、この作品は11月に約5日間にわたるクリエーションを経て、横浜のフェスティバル
「YOKOHAMA PERFORMING ARTS COMPLEX(横浜開港150周年プレ企画/横浜トリエンナーレ2008連動企画)」にて、再演された。



黒子さなえ、きたまり「Being Involved/そこに関わること」
振付・演出:キム・ウォン(韓国)
出演:黒子さなえ、きたまり、キム・ウォン、他
ソウル(韓国)>11月4日(黒子)/11月19日(きたまり)〜12月3日
会場:ソウル・アーツ・センター Jaju劇場

このプロジェクトは、今年2月〜3月に開催した「OSAKA-Asia Contemporary Dance Festival2007」(主催:大阪市/企画制作:NPO法人 DANCE BOX)に、【キム・ウォン】(韓国)を招聘し、ここで【黒子さなえ】と【きたまり】に出会ったことから始まる。 『Being Involved / そこに関わること』は、【キム・ウォン】が主催する単独公演として、ソウル・アーツ・センター(芸術の殿堂)のJayu劇場にて上演された。この作品は厳密な振付作品ではなく随所に即興性を持たせており、またキム・ウォン×韓国の男性ダンサー3名×黒子さなえ×きたまり×衣装デザイナー×ビジュアルデザイナー×音楽家らの複数のアーティストが関わっている。キム・ウォンが教授を務めるChonbuk国立大学にて、約1ヶ月間にわたるクリエーションを経ている。このプロジェクトは、2008年もかたちを変えながらも継続される予定である。



ピチェ・クランチェン(タイ)、伊藤恵、イム・ジョンミ(韓国/大阪在住)、北原倫子
ピーター・ゴライトリー(アメリカ/京都在住) 「テーパノン」
振付・演出:ピチェ・クランチェン 
出演:伊藤恵、イム・ジョンミ、北原倫子、ピーター・ゴライトリー
大阪>2月13日〜3月4日 会場:Art Theater dB
Aリハーサル:8月20日〜28日(9日間)
沖縄>B12月9日〜14日 会場:沖縄県立博物館・美術館)
益田>C12月19日〜24日 
会場:島根県芸術文化センター・グラントワ 小ホール
コメンテーター:後藤美紀子、大谷燠

このプロジェクトは、2003年8月に開催した「Asia Contemporary Dance Festival2003」(主催:大阪市/企画制作;NPO法人 DANCE BOX)に、【ピチェ・クランチェン】を招聘したことから始まっている。その後、再度2004年「Asia Contemporary Dance Festival2004」(主催:大阪市/企画制作;NPO法人 DANCE BOX)にも招聘した。さらに【ピチェ・クランチェン】と協働すべく、今年2月〜3月に開催した「OSAKA-Asia Contemporary Dance Festival2007」(主催:大阪市/企画制作:NPO法人 DANCE BOX)の一環で、「ピチェ・クランチェン大阪滞在制作」を企画した。出演者は、事前に2日間のワークショップ兼オーディションを実施し、その参加者の中から【イム・ジョンミ】【ピーター・ゴライトリー】【伊藤恵】【北原倫子】の4名が決定した。 そして、約2週間にわたるクリエーションを経て、『テーパノン』を上演した。今年8月には、再度、大阪にて約1週間にわたるリハーサルを実施。 その後、今年12月に那覇(沖縄)と益田(島根)にて『テーパノン』を再演する機会を得た。この『テーパノン』は来年度にタイでの上演を目指している。

 

2.パネル・ディスカッション

パネリスト:山下残、黒子さなえ、きたまり、ピチェ・クランチェン、大谷燠、後藤美紀子

会場:大阪市立大学 文化交流センター ホール(大阪駅前第2ビル6階)
資料代:500円


主催:大阪市 企画運営:コンテンポラリー・アート事業実行委員会、(財)大阪城ホール
企画協力:NPO法人ダンスボックス

お問合せ:NPO法人 DANCE BOX
Tel. 078-646-7044  携帯.090-3611-6826(横堀) Fax. 06-6990-7291  dancebox@rock.sannet.ne.jp

 
     

 

主催:NPO法人 DANCE BOX沖縄県立博物館・美術館島根県芸術文化センター【グラントワ】、文化庁
後援:在大阪タイ王国総領事館、在那覇タイ王国名誉領事館(予定)、社団法人国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター
協力:津和野町日原中央公民館、プラザ枕瀬、高津神楽社中、木ノ口神楽社中

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