ACDF通信04

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早朝、関空で朝マック。

本日早朝、 Asia Contemporary Dance Festival 2004に参加すべく、タイのピチェ・クランチュン、マレーシアのアリフワラン・シャハルーディンが関空に現われた。

今回で二度目の参加であるクランチュンはよく見ると、去年の参加作品の衣装を着ている。結局スタッフは誰もそこを突っ込まなかったらしいので今頃ホテルで悪態をついているかもしれない。それにしても涼しく、なぜか神秘的な存在感は相変わらずだ。

一方のアリフワランは、ドイツのハンブルグから飛行機で来たということもあり、ゲンナリしながら「タバコ・・・。」とつぶやきながらの登場だ。モヒカンの26歳はそれでも話し始めるととまらない。

クランチュンとは旧知の仲であるらしく、バスの中では近況報告に忙しい。世界中のフェスティバル等を渡り歩くアーティストのこういった情報網には驚かされた。

実はクランチュンも、以前にこのフェスティバルに参加したアーティストに紹介してもらったという経緯を考えると期間中に出来るだけの情報を集めようと質問攻めにしてしまう。

なにせ今のアジアには、これからとんでもないアーティストが出てくる気配がしている。どこかで淡々と待っているような気がするのだ。そしてそういうアーティストは必ずいつか海を渡り歩く。そのルートをこの二人のようにここに向けたいのだ。「ベトナムに面白いやつがいる。」なんて聞いてしまうともう興味はとまらない。

そしてそれ以上に興味があるのは、今回彼らがどんなパフォーマンスをするのかということだ。

劇場に到着するとさっそく技術スタッフとのミーティングが行なわれた。未だその全貌は謎につつまれていた彼らの新作が徐々に姿を表し、僕らのフェスティバルへの意気込みも加速度的に高まる。やはり人とは会って話さなければ何もわからない。もう彼らとメールだけで連絡をとらなくてもいい。そして、これがなによりも嬉しい。

しかし、これは意外に大変なことになりそうだ。技術スタッフの皆様、よろしくお願いいたします。

ところで、アリフワランという名前は「あらゆる知識を併せ持つ王」という意味らしい。クランチュンと、子供のように言い合いをしている姿とは打って変わって、ミーティングでの彼の深い発想を思い出すと、ギリでうなずける。

塚原悠也

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マレーシアで見たこと、今日聞いたこと。


私は、今年の4月にマレーシアへ行ってきた。
そして、マレーシアの首都クアラルンプールにある劇場「THE ACTORS STUDIO」(キャパは400席程)に芝居を見に行ったのだ。(私の英語の聞き取りが間違っていなければ、クアラルンプールでは唯一の民間の劇場らしい。)

高級住宅街にあるショッピングセンター内にその劇場はあった。 演目は「THE ACTORS STUDIO15周年記念・A Man For All Seasons」。 タイトルからしてそうなのだが、英語による芝居だった。私は英語は未だに不得手であるため内容はほとんど理解できなかったが、 マレーシアにおけるキリスト教を歴史的に読み解くもののように感じられた。

客席は、3/4程が埋まっている状態。
関係者、外国人、上流階級の人が殆どであったように記憶している。チケット料金も異様に高かった。

じつは私のマレーシア行きの直前に、アリフさんに、かの国でのコンテンポラリーダンス事情が知りたくて問い合わせてみた。 その返事は、「現在の状況は全くよく思っていない」のような内容のものであった。スケジュールが合わず会えなかったのだが、その言葉を気にかけながら、劇場やギャラリーを回った。マレーシアでは、芝居、美術、ましてやコンテンポラリーダンス等は限られた人だけが楽しむものなのかもしれないと強く思ったのだ。

さて、本日である。
スタッフとの打合せの合間をみて、アリフさんと少しずつ話をした。
マレーシアで感じたことがつながり始めた。

マレーシアには、マレー系、中国系、インド系の人々が混在している。
そしてイギリスの植民地であった。だから、交わされる言葉は英語もマレー語も中国語など、誰と話しているのかで顕著に変わる。

アリフさんは「イングリッシュ・シアター」と呼んでいたが、英語を使って日常的に会話をする、または芝居をする人々やカンパニーが、マレーシアのアート界で大きなポジションを握っているらしいのだ。外国人、エリート、お金持ち等の人々がそこに入る。「イングリッシュ・シアター」に属さない人々にとって、決していい状況ではないと。またお互いの交流は殆どないとのこと。

私はアリフさんの話しか聞けていないので一概には言えない。
ただ、歴史、政治、多民族国家、上流階級と一般市民の狭間にあるもの、様々なことが入り組んでいる。それがマレーシアの大きな力になっていることも、足をひっぱる力になっていることにもなっている。
また、アリフさんは海外のフェスティバルを渡り歩いているので、自国のことがいろんな面でよく見えるのだと思う。

私には、まだまだ見えていないし分かっていないことも多過ぎるだろう。
しかし、4月のたった4日間のマレーシア・クアラルンプールを歩いたことで、身をもって感じることがある。
それらが、アリフさんの作品を見た時に、もしかしたら相槌を打つようになにかを納得できるのか、または新たな異物が飛び込んでくるのか、もしくはそんな事がどうでもいいことになるのか、楽しみである。 横堀ふみ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『ダブル編集長会議』 8月2日付

T:朝マックてたまに食うとうまいな。
Y:空港やしまた格別やわ。
T:英字新聞が似合う場所とちゃう?スッチーとか。
Y:あざとく、英語が読めることをアピールしたやろ。
T:まぁ、ロンドンの空港で朝マックしたことあるしな。
Y:塩加減はもっといい感じなんか?

編集:塚原悠也、横堀ふみ

発行:NPO法人 DANCE BOX