ダンス・トライアル
若手アーティスト/制作者がキュレーターとなり、3組のアーティストによる作業灯の下で行うダンスショーケース「ダンス・トライアル」。
今回は「横浜ダンスコレクション2019」コンペティション1にて「審査員賞」(グランプリ)・「POROSUS寄付基金Camping賞」の二冠を獲得し、東京を拠点にダンス作家として活動している下村唯。そして、2023年7月より新長田に移住し、神戸ダンスボックスのスタッフとして様々な形のダンスを目撃しながら怒涛の日々を過ごす杉本昇太によるキュレーション企画を実施します。
下村唯キュレーション「ダンスの行方 ~みんなでダンス作品に点数をつけてみる~」
2024年3月23日(土)14:00
◉ 下村唯『シャーデンフロイデ日和』
◉ 髙瑞貴×堀之内真平『ROUTE_db』
◉ 長野里音『うみ、うむ』
杉本昇太キュレーション「弱さの可能性」
2024年3月24日(日)14:00
◉ 野田容瑛『1(忘)LDK』
◉ 堀川裕樹『fragile』
◉ nouses『nous』
「ダンス・トライアル」は作品を発表/踊るだけでなく、終演後に観客やスタッフ、参加アーティスト同士のフィードバックやディスカッションなど交流の機会を設け、お互いの活動内容や問題意識を知ることで、より強いダンスコミュニティの繋がりをつくることを目的としています。
2024年3月23日(土)14:00
下村唯「ダンスの行方 ~みんなでダンス作品に点数をつけてみる~」
キュレーションコンセプト
「芸術に点数をつけるのはあり?」「コンペって本当に必要なの?」「作品の感想って、みんなどんな感じで考えているの?」 ダンス作品はその抽象的な性質上、評価も曖昧になることがあります。本公演では、3作のダンス作品を実際に鑑賞し、その作品ごとに観客全員で点数をつけ、それを元にダンス作品を探求し、ダンス作品と、作品の作り手、受け手の適切な関係を考えます。 「ダンスとは何か」「なぜ踊るのか」「大切なことは何か」 ダンス作品をみんなで楽しみ尽くしながら、これからのダンスの行方を共に追っていきましょう。
司会(ファシリテーター):福田恵
上演作品
◉ 下村唯『シャーデンフロイデ日和』
シャーデンフロイデとは、他人の不幸を目にしたときに感じる喜びなどの快い感情。人の不幸は蜜の味。
そんな日々と対話を試みるダンスコミュニケーション作品。
振付:下村唯|出演:下村唯、まつなみはる奈
上演時間:30分◉ 髙瑞貴×堀之内真平『ROUTE_db』
またやって来た、作品説明。
今、数多の道がある中で決めねばならない。
○、△、□、○、△、□…
「ただの説明だよ。そんなに苦しまないで大丈夫。」私は問わねばならぬ。
なんとか言い表そう。
誰一人こぼれていない ROOT につながる道。振付・出演:髙瑞貴、堀之内真平
上演時間:30分◉ 長野里音『うみ、うむ』
長野里音 です 。 獅子 座、神戸 出身、生粋の神戸っ子 です。
私の街の魅力は 山と海が近いところ だと思います。
もう一度訪れたい場所は 仙台 で、あの日見た壮大な景色 が忘れられません。
あの日は、私、友達と校庭にいて 、風が強くて凍てつく寒さの中、海をみた 。
今日も 汽笛音が鳴る。
海を渡り、思い出の場所 に行く。振付・出演:長野里音
上演時間:20分
2024年3月24日(日)14:00
杉本昇太「弱さの可能性」
コンセプト
自分のことをずっと「弱い」存在だと思ってきました。他人が怖くて、傷つきやすくて、心のどこかに疎外感や孤独感をもって生きてきました。しかし、新長田に来てDANCE BOXやこの町の人たちは僕を温かく迎えてくれました。初めて自分の「弱さ」を受け入れてくれた感覚がありました。
コンテンポラリーダンスは、既存のダンスを参照しつつ新たなダンスを模索する芸術です。型がなく曖昧で、ある意味「弱い」ところから立ち上がっていくものといえるのではないでしょうか。
弱さのもつ力を受け入れること。それは新たな可能性を生み出すきっかけになります。
今回は3つの作品を紹介します。移民との共生や阪神・淡路大震災を経験し寛容性を持つ新長田という町で「弱さ」について静かに向き合いたいと思います。
上演作品
◉ 野田容瑛『1(忘)LDK』
『1(忘)LDK』は、不自由のなかに時折一瞬だけ現れる、小さな自由を上演するプロジェクトです。演出家たちが書いたインストラクション(不自由にするもの)を元に、パフォーマーが自分自身で振付を考え、上演(自由にすること)をします。観客はそれを目にし、どうやって自由にしたのか、パフォーマーと話すこともできます。今回は野田容瑛バージョンの上演です。
「ハロー、聞こえますか。この場所で私たち、話をしよう。10年前に食べた角煮まんにはパクチーが入っていた。まだ見える、まだ匂いがする、まだ覚えている。そんな話をしよう。」
上演:野田容瑛|コンセプト:山田カイル×ジュネスホワイト
インストラクション:山田カイル
上演時間:45分◉ 堀川裕樹『fragile』
わたしたちの体はこの世界のわずかな一部分をたしかに占領していて、そのとき、その場所においては、他のひとが見ることのできない風景を見ている。たとえそれがどんなにささやかで、平凡な眺めであったとしても。ともすれば簡単に見過ごされてしまいそうな、なにが違うのか目を凝らさないとわからない様な特別さ。そんなささやかさに、踊りを通じて分け入り埋もれながらおしひろげ、拡大していくこと。ありふれた誰も見たことのない景色をみるために。
振付・出演:堀川裕樹
上演時間:15分◉ nouses『nous』
言葉、意味、論理のないフィシス(自然)のゆらぎに私たちを近づける。
個として生きる軌跡と共に。
ありのまま受け入れ忘れゆく。
私たちの生きた軌跡と共に。
私たちが歩んできた人生が身体であり、感性であり、表現にも振付にもなりえると思います。それらの純度の高い抽出方法として即興の踊りを用いています。自己を除外してフィシスに近づく行為はいつの時代も似た表象になると思います。ですが時代ごとに生まれる多様な個としての自分(人生)を自分たちを受け入れた上でフィシスへ近づく行為は永遠に多様な一回性であり愛しく思います。言葉、意味、論理に囲まれた現在、フィシスへ想いを馳せる事は重要だと思います。その先で誰も哀しまない大切な景色があると信じています。演出・振付・出演:nouses
上演時間:15分
日程
- 2024年3月23日(土)、24日(日)
時間
- 2024年3月23日(土)14:00、24日(日)14:00
会場
対象
- 〈一般〉1日券 2,000円、2日券 2,500円
〈割引 *対象:長田区民・会員・U25・障がい者・介助者・65歳以上〉1日券 1,500円、2日券 2,000円
〈高校生以下〉1日券 500円、2日券 1,000円
〈未就学児〉無料
*当日券は各200円増し ご予約
お問合せ
NPO法人DANCE BOX
電話:078-646-7044
メール:info-db@db-dancebox.orgクレジット
主催:NPO法人DANCE BOX
企画・制作:NPO法人DANCE BOX
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(次代の文化を創造する新進芸術家育成事業))|独立行政法人日本芸術文化振興会
この記事に登場する人
まつなみはる奈
5歳よりモダンバレエを始め、桜美林大学にてコンテンポラリーダンスを木佐貫邦子に師事。在学中より「このめ」として作品創作と身体感覚に特化したワークショップを開催。2018年より東京にて活動を本格化。
振付家・ダンサー・舞踏家によるコレクティブCoreCollectiveのメンバー
貴方とダンスで繋がりたい。
2024年1月29日 時点
髙瑞貴×堀之内真平
2014年の共演を皮切りに、多種多様な場で在り方・価値観を即興的にはかる。昨年金沢にて、おぼろげながら、原始的で普遍的な何かをたぐり寄せる。細胞同士が夢中に繋がり、その場にいる者たちが実感し合うその瞬間。肌に染み込んだ「感情の記憶」と、挑発的な「身体の記憶」を足掛かりに。創造渦巻くこの地から返盃への旅_
2024年1月28日 時点
長野里音
兵庫県出身、在住。幼少よりバレエを習う。
文化庁・NPO法人DANCE BOX主催 国内ダンス留学@神戸8期に参加。
2023年度 DANCE BOXアソシエイト・ダンサー。
多種多様なダンスとの出会いをきっかけに、ダンスによる自身のアイデンティティー形成に興味を持ち、ダンサーとして活動している。
2023年9月10日 時点
福田恵
劇団レトルト内閣所属。京都大学在学中から多くの舞台に立つ。関西演劇祭2021アクトレス賞受賞。エミィ賞グランプリ2023では自ら脚本演出を手がけた一人芝居で優勝を果たした。特技は書道、イラスト。なおM-1グランプリで3回戦、R-1グランプリで準々決勝に進出したことがある。
2024年2月2日 時点
野田容瑛
広島県出身。東京、台北、神戸、大阪を経て現在は京都を拠点に活動。NPO法人DANCE BOX「国内ダンス留学@神戸」4期振付家コースを修了。日本で生まれ育ったが台湾にもルーツを持つ身として、大学在学中に台湾の言語と文化を学び始める。大学院で台湾の舞台芸術を研究。2019年度まで演劇ユニット「亜細亜の骨」に参加し、台湾と日本を行き来しつつ役者・制作・翻訳等を行った。2018年よりダンサーの桂阿子とアーティスト・デュオ「ジュネスホワイト」を結成し、創作の土壌を耕すためのバーチャル・シェア・アトリエとしてサイトを運営中。2023年10月より山田カイルとジュネスホワイトの協働でパフォーマンス・プロジェクト「1(忘)LDK」を製作し、京都、東京、神戸、台北にて上演を重ねる。
2024年6月10日 時点
nouses
京都出身の山本晃とワトリーから成るダンスチームnouses(ヌース・ヌゥス)。
HIP HOPカルチャーをベースとして2007年よりキャリアをスタートさせる。現代音楽の一つであるmusique-concrèteから由来する、フィールドレコーディングの手法を取り入れた音源制作を行い、そこからconcrèteと位置付ける独自のジャンルを確立させる。
ストリートダンスと現代アートを融合させた比類を見ない表現は国内外に認められ、独自のジャンルにもかかわらず世界最高峰のストリートダンスコンテスト JAPAN DANCE DELIGHTにてFINALISTとして2回出場を果たす。2017年にはスイスにて行われたHIPHOPフェスティバル Groove’N’Move Festival、2018年には、シンガーソンググライターMISIAのバックダンサーとして招聘される。
また、ストリートダンスのみならずコンテンポラリーダンサーからも高い支持を得ており、国内を代表するコンテンポラリーダンサーである大植真太郎・辻本知彦・梅田宏明・平原慎太郎・森山未來、各位(敬称略)との活動経験を持つ。近年ではYOKOHAMA DANCE COLLECTION 2021にてアーキタンツ・アーティスト・サポート賞を受賞。
2024年1月30日 時点
下村唯
近畿大学文芸学部卒。コンテンポラリーダンスカンパニーSLEEPWELL代表。「すべての人と人が共生するための器としてのダンス」を掲げ活動。劇場など限定空間でしか生まれない、”人と人のつながり”を作品の重要な構成要素とし、観客との対話をそのまま作品に取り込む「ダンスコミュニケーション作品」を展開。また、3つの振付ソロ作品をダンサーひとりが一気に踊る「ひとをどる」など、独自のダンス企画も行なっている。
横浜ダンスコレクション2019コンペティション1にて、審査員賞(グランプリ)受賞。
2023年4月11日 時点
杉本昇太
大学在学中にコンテンポラリーダンスに出会う。ダンスの魅力に取りつかれ、公演に足を運ぶ内に、舞踊評論に興味を持つようになる。
その後、NPO法人DANCE BOXのインターンとして採用を機に神戸に移住。新米スタッフとして、舞踊評論家のたまごとして日々修行中。
2024年1月23日 時点