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国内ダンス留学@神戸 6期振付家インタビューVol.3山下残 | BLOG | NPO DANCE BOX

2017.5.22

国内ダンス留学@神戸 6期振付家インタビューVol.3山下残

「左京区民族舞踊」踊りに行くぜ!!Ⅱ 2017

ー6期生は若いダンサーが集まってくれると思うのですが、山下さんは若いダンサーに対してどういった印象をお持ちですか?

山下:どうですかねー。みなさん性格がひねくれていなくて素直な人が多いという印象ですね。昔は舞台芸術をやるとなると、少し道から外れたというか、今は大学などでダンスや舞台芸術の授業がありますし、人の道から外れて舞台芸術をやり始めたという人はあまりいないような気がします。そう意味では若いということよりも、自分たちの時代はちょっとひねくれた人が多かった気がします。今の若いダンサーはどうか?と聞かれると、真っ先に優しくて素直な人が多いなと思います。

ー作品をつくる時は、どんな人と一緒に仕事したくなりますか?山下さんが興味を惹かれる人とは、どんな人でしょうか?

山下:具体的なことを言うと、昼間に一緒に稽古できる人がいいです。ダンサーを探しているときは、まず昼間に一緒に稽古が出来るかということを聞きます。それが最優先したいことですね。

ーどうして昼間がいいのでしょうか?

山下:昼間の方が疲れていないということもあり、それが生活のメインになるというか。朝起きて、昼に活動して、夜は眠っていく。というような自然な身体のペースを大事にしたいです。夜の稽古を避けられない事情がある時もあるのですが、夜の稽古だと、どうしても一仕事した後に集まるので、なかなか調子に乗り切れないという感じがあります。

ーなるほど。それは、ダンスを生活の中心に持ってきている人と仕事がしたいということでしょうか?

山下:夜に稽古をする人でも、その人なりにダンスが生活の中心だと思いますよ。ただ、どんな人と一緒に仕事したくなるかとなった時には、やはり昼間に稽古できる人がいいですね。もちろん、趣味でダンスをしている人とではなく、舞台活動を自分の生活の中心に置いている人と一緒に仕事をしたいと思っています。

ーダンス留学6期バージョンの可能性があるということで、「左京区民族舞踊」の成り立ちをお聞きしたいのですが、新長田に来られて6期生と一緒につくるとなった場合、どのようなとろからクリエーションは始まっていくのでしょうか?

山下:自分の身体的なこだわりをダンサー達に伝えていくという感じのところから始まると思います。元々この作品は、“自分の地元で舞踊団を立ち上げる”というコンセプトなので、自分でカンパニーを立ち上げるとなった時に、どういうことになるのかということをやりたかったんです。

カンパニーをつくるとなると、色々なことが想像されると思うのですが、自分の場合は「メソッド」かなと思いました。創作メソッドを舞踊団のメンバーに伝えていく。伝える道筋があらかじめ決まっているのではなくて、ストレッチのやり方や筋トレなどにもこだわりはあります。鍛える部分は鍛えます。ただ闇雲に筋トレとかをするわけではなく、どんなところをどんな風に鍛えるのかということは伝えれると思います。

ー「メソッド」というのは、どこかで習得されたものですか?それとも山下さん自身が編み出されたものでしょうか?

山下:自分で編み出したものです。どこかから習得したものではありません。過去にモダンダンスやバレエなどのダンスクラスでテクニックを習いましたが、創作のメソッドを習得したことはないですね。2000年前後コンテンポラリーダンスが盛んになってきた時に、アウトリーチなどでワークショップをする機会が増えてきました。2-3時間の枠内でダンステクニックを教えるより、自分なりのオリジナリティーと言いますか、もう少し特徴づけなければいけないと思いました。

いろんなダンスのワークショップがある中で「山下残のワークショップでどんなことをしたか」ということを受講者に印象づけてもらうために、ダンスのつくり方やクリエーションの方法をするのがいいのかなと思いました。コンセプトやメッセージ性よりも作品をつくるプロセスを大事にしたいと思っていたので。

ーそのメソッドは、一体どんなことをするのでしょうか?

山下:例えば、「書く」ということをします。ダンスをつくる時は、映像を使って記録するのが一番簡単です。けれども元々ローテク(ローテクノロジー)なものが好きで、「紙とペンがあればダンスが出来る」ということに憧れています。それは、土方巽さんの言葉や大野一雄さんの舞踏譜などに影響を受けたりしているからかもしれません。

これは、昔に習っていたバレエの先生に聞いた話ですが、カメラがなかった時代は、ロシアから来たバレエ団の公演を仲間同士で観に行って、舞台の下手、真ん中、上手など担当分けをして客席でフォーメーションを組み、振付をそれぞれが書き取りで記録していたみたいです。その後で、稽古場に戻ってそのバレエ作品の音楽を流しながら、メモしたことをみんなで付け合わせて再現していたらしいです。そういうのは逆に夢があるなと思いました。メソッドと言えばテクニカルなイメージですが、「紙とペンでダンスをつくる」ということは自分の創作メソッドの中の重要な部分を占めています。

「悪霊への道」TPAM 2017

ーこれまでの山下さんの作品の創作過程を記録したメモやノートは残っていますか?

山下:全部残っています。作品によっては、あまりメモっていないものもあれば、何冊にも渡って残っているものもあります。作品によって様々ですね。

ーアーカイブ的に読み返したら、他者が再現できるような振付だったりするのですか?

山下:昔からアーカイブについてはよく考えていますが、アーカイブを考える以前に、作品をどのように生み出すかということに力を注いできました。なかなかオリジナルな作品は簡単にはつくれませんし。昨今言われているアーカイブと自分が思っているアーカイブは少し違うのかもしれません。

ーこれまでの作品メモやノートを残しておられるということで、それを集めたらまた新しい作品が出来そうですね。

山下:「そこに書いてある」という作品がそうです。2002年に引越しをした際に90年代からの書き溜めていた大量の作品メモなどをもう一度見直して、そこから抜粋して作品にしたものが「そこに書いてある」になりました。

田中:私は「そこに書いてある」を観させていただいたのですが、過去の作品メモから出来たとは想像していませんでした。

ーところで、今までのお話で一つ気になったことがあるのですが、山下さんは「身体を鍛える部分は鍛える」と仰っていましたが、身体のどこの部分を鍛えておられるのでしょうか?

山下:まず、20代で腰のヘルニアになったこともあり、腰に負担をかけないように下半身を鍛えるということをしました。長い距離のジョギングやウォーキングなどを継続的にしたり、靴にもこだわりを持って研究したりしています。ただ、自分は見た目ひょろっとした体形で首も長いので、重心を低くして床を踏みしめるような力強い踊りが似合わないというか、それよりもふわふわとした感じの方がいいのかなと思っているので、表面的に筋肉が目立たないように脚の裏側(内腿)を鍛えています。

あとは、最近肩を悪くしまして、肩甲骨の辺りを鍛えていきたいのが今の課題です。つまり、故障したところを順番に鍛えていくというような感じです。ガッチリした体にならないように裏側を鍛えるのがポイントです。

田中:ビジュアルも崩さないように努力してはったんですね。

横堀:この話は、公開しても大丈夫でしょうか?

山下:大丈夫ですよ。(笑)

ーダンサーの身体に対してはどのように見ておられますか?

山下:タイミングや音楽的なリズム、表現力や表現し過ぎない技術とか。例えば、「左京区民族舞踊」で考えると、自分の舞踊団ということなので、自分の身体が基準になります。ダンサーの身体にそれを当てはめていくというか、自分自身の身体感覚をダンサーになんとか伝えるということになります。なので、ダンサー個々の身体をどう見るかというのはあまり今の意識にはないです。

ー最後に、今、ダンス留学への参加を迷っている人に対してメッセージはありますか?

山下:そうですね、どんな風に言ったらいいですかね。このような企画は他にはあまり見当たらないと思うので、振付家にとってもとてもやりがいのある機会だと思っています。とても楽しみにしています。

田中:私達も楽しみです。今日はどうもありがとうございました。

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