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【NEWCOMER/SHOWCASE】平原慎太郎×植野晴菜×カイル・シェンクス | BLOG | NPO DANCE BOX

2017.12.19

【NEWCOMER/SHOWCASE】平原慎太郎×植野晴菜×カイル・シェンクス

INTERVIEW

国内ダンス留学@神戸6期「NEWCOMER/SHOWCASE」4人目は、今勢いに乗っている振付家の一人、平原慎太郎さんです。昨年度(国内ダンス留学@神戸5期)に続き今回はなんと新作!『+0>0-0』を12月21日に上演いたします。どう発音したらよいのか分からないタイトル、ここに込められた意味とは何なのか。クリエーション8日目の12月12日、6期生の植野晴菜とカイル・シェンクス、そして平原慎太郎さんに、クリエーションを通してそれぞれが「今」感じていることを語り合っていただきました。

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-まずはダンサーのお二人にお話を聞きたいと思います。ちょうど一週間経ちましたが、クリエーションをして平原さんの印象はどうでしょうか?

カイル 多くのコレオグラファーがクリエーションを行うときに、2つのポイントのどちらかに集中しがちだと感じます。1つはテクニック、もう1つはコンセプト。どちらかを強く出しすぎてそのバランスがとれていない事が多いと僕は感じています。今回平原さんに感じたのは、そのバランスが取れている上に面白味があって興味深いです。

植野 今回は今までの作品で一番踊っていると感じています。今までやった事の無いテクニックやコンタクトの動きを丁寧に教えてくださるので、ダンスを学んでいると感じます。また、メンタリティーの部分でも私たちにしっかりと向き合ってくださっていると感じます。

 

-では平原さん、国内ダンス留学@神戸の講師として今年で二年目ですが、6期生の全体の印象、そしてこの2人(植野、カイル)の印象はどうですか?

平原 6期生の印象は良くも悪くも生徒っぽくないですね。良く言えば既にアーティストとしての意識がある人間がいる、悪く言えばガツガツしてない。各自が振付を学びたいとかアーティスト的な立場でいるような感じでしょうか。去年と比べて生徒という感じではないね。

カイルに関しては、ダンスの経験値があってクリエイティビティがすごくある。僕の経験から海外の人が必ずしも優れているとは限らないと知っているからこそ、カイルは優れたアーティストだと思う。

晴菜(植野)に関しては、僕が思うにコンテンポラリーダンスやコンタクトの動きをするのは初めてなんだよね。これから何かを吸収するぞという姿勢があって、良い意味の生徒っぽさが一番あると思う。


-去年、平原さんが5期生と創った作品は過去の作品の抜粋でしたが、今回2週間という短いクリエーション期間にも関わらず新作に挑まれています。そうしようと思った理由と、『+0>0­-0』という音読できないタイトルについて聞かせていただけますか。

平原 去年はNEWCOMER/SHOWCASEの一発目の講師だったので、5期生にはダンサーとして強いフィジカリティーを持って次の振付家の作品にも挑んでほしいという気持ちでやっていました。今年は4人目の講師という事で、クリエイションのバラエティというか、こういう作家もいるという経験をしてほしくて新作のクリエイションにしました。タイトルについてですが、一つは無国籍であるという事。「0」って記号ですよね。これは捉え方なんですけどタイトルから言語という物を失わせているという。なのでダンサー達には喪失とか消滅、空虚について話し合ってもらうところから創作をスタートしました。

 

-現在のクリエーションを拝見していて、身体には特化しているけれど映像や音、小道具など色んな要素も出てきています。平原さんは何を頼りに作品を作っていますか?

平原 “たまたま”ですね(笑)“たまたま”劇場にパネルがあったり、“たまたま”クリスマスのモフモフの飾りがあったりとか、ダンサーとの出会いも“たまたま”。その“たまたま”に対する感度というかアンテナの張り方です。“たまたま”をただの偶然と思うか運命や奇跡と思うのか。そこは大事にしていますね。

 

-舞台において絶対的な”身体”をどのように捉えていますか?

平原 例えば、ダンサーが過度に体を捻っていると自分がやっていなくてもそれを見てる側に痛みが伝わると思います。つまり身体感覚というものは共感しやすいという側面がある。その共感できる感覚を軸に多方向に表現が派生する種になると思う。だから観客と共感する為のベースに”身体の表現”があると思うんです。ダンスだけの話ではなく一番他人を理解するツールとして大事だと思っています。

植野 身体は他人と理解するツールということについて、6期生には海外勢もいて、言葉だけでは完全に通じない部分があります。私たちにとって一緒に踊るということは、言葉よりも相手を知ることができるのです。インプロビゼーションでは、他の人が作る空間の中でどこに自分が必要であるのか、その空間の中で、自分はどのように存在すればいいのかを身体で感じとることができます。自分の存在意義を言葉を介さずに皆が教えてくれているような感覚があるんです。

今回のクリエーションでコンタクトを初めてやってみて、相手が次にどんな動きを欲しているのか、身体で感じることができ、より相手の意思を身体で理解できるようになりました。

カイル 平原さんが仰る通り、ダンスの面白いところは言葉を使わなくてもメッセージや考えが伝わるという事。それは他のアートでも可能であるとは思いますが、特に身体の動きによって伝えるという事は観客によってまた違う感覚があると思います。例えば平原さんがクリエーション中に発した言葉や説明がまだ点であっても、やっていくうちに私たちダンサーの中で点同士が繋がっていく感覚があります。点と点が繋がってきたときにコンセプトが見えてきて、平原さんからのメッセージが伝わってきます。実際にショーイングでは観ている人にそれは伝わると思います。

平原 あとは、偏らないようにしたいと思います。カイルが言うように、コンテンポラリーダンスにはコンセプチュアルな一面があり、難解なものになりがちです。ダンスだけ、コンセプトだけと偏らず、いろんなサプライズがあっても面白いと思っています。例えば、作品の中でカイルが時計を持って来るシーンがあるんですけど、それを僕が“クロノス”という時の神様のようなイメージだと伝えると、カイルが「あ〜はいはい!」って言ってすぐにできたんですよ。誰も会った事が無いけどなぜか理解できるみたいなあのシーンはちょっとしたサプライズかもしれません。

 

-まだ作品は完成していませんが、現在の創作過程を見ている限り名シーンが沢山有ると思います。ダンサーのお二人は自分の見せ、あるいはここがどころだとうシーンはありますか?

植野 フィジカルの面においては、私の身体は固くて強い身体を持っていると思っています。作品の中でカイルやアランをリフトしたりもするのでそこを見ていただきたいです。また、箱の前で身体を小さく丸める動きをするのですが、その動きが、自分の経験の中にある空虚や消失を一番表していると思うので、それを見て何か感じていただけるといいなと思います。

カイル 現代の私たちの身体の動きは本来持っているものから離れてきていると感じています。スマートフォンや色んなテクノロジーが生活に入ってくる事によって離れて来ているような。私がオーストラリアで教えている子ども達にはわざと人間らしくないような動きをする事で、反対に人間らしさを浮き上がらせるような事を教えたりしています。例えば作中にも出てくる”クロノス”や4人の女性によるスローモーションのダンスはさっき私が言った事とどこか共通しているところがあり、その異質な動きこそが私の見せ場で、是非見て頂きたいと思います。誰でも出来る動きかも知れませんが、それを見せる事によって観客の心に訴えかけたり、何か発見させたいです。

 

-では最後に、平原さんからこの度の新作『+0>0-0』の見どころを教えて下さい。

平原 僕は能(能楽)がすごく好きなんですね。能の構造の面白いところで「シテ」と呼ばれる、この世に未練を残している亡霊が出てくるところです。この世にいない設定の亡霊を演者は面をつけて演じるのですが、この面をつけた状態という「身体性」を手に入れて舞う。これは常に自分の作品のヒントになっています。

今回もそれが影響していて、亡霊は出てきませんが、例えばカイルの“クロノス”のシーンでは、特異な身体性を獲得してキャラクターが踊るシーンがあります。そしてそうではないシーンというように、シーンが多層的になることによって作品にメッセージがあるんだと印象がついていく。何かが具体的に伝わるかどうかは難しいですが、その”何か”があるというのが僕の作品の中では非常に重要だと思います。そして、何体ものそうした身体性を獲得したダンサーが、「作品の中を生きる」。このことが目標であり、見どころと言いたいところです。

 

(聞き手 田中幸恵、通訳:米澤新二、編集:新家綾)

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NEWCOMER/SHOWCASE #4 平原慎太郎振付作品『+0>0-0』

〈日時〉2017年12月21日(木)20:00開演

〈会場〉ArtTheater dB 神戸

〈チケット料金〉

  一般前売 ¥1,500

     学生・長田区民・donBuri会員 ¥1,000

   ※当日は前売料金 ¥200増

   ※リピーター割引 ¥200引(チケットの半券をご持参ください)

 

〈お問合せ/ご予約〉NPO法人DANCE BOX

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