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【K-ACDF】山下残 インタビュー | BLOG | NPO DANCE BOX

2017.11.21

【K-ACDF】山下残 インタビュー

INTERVIEW

NEWCOMER/SHOWCASE#3(11月25日)に向けた山下残さんによる3日間のクリエーション(10/7~9)最終日。今年の7月末より関西に移住しダンス漬けの日々を送る6期生の宮脇有紀と松縄春香が、京都を拠点に国内外で活躍の山下残さんにお話を伺いました。

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山下 関西のアーティスト同士はどうですか?

 

宮脇 アーティスト同士が近いなという印象があります。ダンスだけじゃなくて様々な分野の人が手を取り合って、何ができるかなと模索しながら、小さなものから大きなものまで色々やっているのではないでしょうか。あと、新長田が特にそうですが、地域や社会、ソーシャルコミュニティーと近いなと思っていて、ダンスに対しても協力的だなと感じています。アーティストや企画者側もどんな街にしたいかというところから考え、積極的にアートプロジェクトを盛り上げている印象があります。

 

山下 関西は人との距離が近いっていうのはありますね。DANCE BOXとは、できた時から関わっていますが、そのへんは20年前から変わっていないと思います。そういうのが当たり前の中でやっていて、逆にそういうのがちょっとしんどくなって、東京とか海外に行きたいって人がいるんじゃないでしょうか。その理由のひとつが、あまり人と近すぎるとやりたいことがあってもやりにくいっていう人もいるんじゃないかな。でもそれも人それぞれで、アーティスト同士や地域と距離が近いこと、交流プロジェクトが自然に起こってくることは良いことには違いないし、それを当たり前と思うから、確かにそうだなと思います。

宮脇 20年前にDANCE BOXに関わるきっかけになったのは何ですか?

 

山下 当初は隔週でダンスのプログラムをやって盛り上がっていましたね。トリイホールは、週末は落語の公演があって、月曜か火曜に月に2回コンテンポラリーダンスの公演があって、よく出させてもらいました。新世界に移ってからも時々お世話になって、神戸に移転してからは、こういう風にじっくり作品を作る機会をいただくのは、初めてだと思います。初めは「DANECE CIRCUS」という企画の第一回目に偶然出演させてもらって、10分くらいの小作品を6組上演していました。90年代はまだ、ショーケース的なものは少なかったので、ダンサーは自分たちで小屋を借りて単独公演をやるしかなかった。今はコンペティションやショウケースのようなものがたくさんあるけれど、DANCE BOXが立ち上がって、この企画に参加することで、短い作品で出演することができて、他のダンサーとの交流や観客からの感想をダイレクトにもらえたので、劇場としての実績を重ねていくのと鏡のように一緒にアーティストも成長していけたっていうのはあります。

 

- アーティストと劇場が一緒に歩んでいけるというのは、ある意味理想的ですね。

 

宮脇 まずは、この度の3日間の稽古で「国内ダンス留学@神戸」6期生にどういう印象を受けたか聞いてみたいです。

 

山下 ひとりひとりがクリアに見えました。山崎広太さんの作品(NEWCOMER/SHOWCASE#1)を観たときは、すごくうまく作られていて、心地よく観れました。9人がそろって作品世界を成立していました。今回は個々人が見えたのが3日間の収穫かな。

 

宮脇 昨日の稽古でもお話にもあったように、作っていくモチベーションが囲碁とか遊びとかにあるとのことですが、それ以外にどういうものからインスピレーションを受けて、創作されていますか。

山下 追い込まれて決まることが多いかな。基本的にはノープランなんですよ。皆の顔をパッと見て、ここで何したらいいんかなと、その場で考えてリードしていかなきゃいけないし、追い込まれて慌ててつくる、それがアイデアになったり方法になっていくことが多いかな。

 

宮脇 今日の即興のワークみたいに、まず試してみて、それが方法になっていくような感じですか?

 

山下 実は何も考えてないんですよ。例えば今日、前の二日間はルールに沿ったワークをしていたけれども、一回ちょっと何もないところに戻ってみたいと感覚的に思って、ひとりずつ出ていくのをやってみようと、じゃあ次は3人ずつでやってみようと。そこで感じたことをみんなに伝えよう、じゃあ次は全員でやってみようと。みんなで踊っている中で、「あっ」と気づいたことや思った瞬間もあったと思うし、でもすぐに整理して言葉にするのではなく、感覚的に心に留めておいて、次に何かの機会があったときに、しっかりとした言葉になったり、ルールや方法として提示できるものになっていったり、そういうやり方がひとつのインスピレーションの受け方なんじゃないかなと思います。

 

宮脇 稽古では情報量が多くて混乱していたり、自分の中で落とし込めず帰ったりすることもあるんですが、お酒飲みながら他のダンサー達と一緒に感想をめっちゃ言って帰って寝る。すると翌日自分の身体に起きていたことや感じていたことがもっとクリアになっていたりしていて、インスピレーションと同じかはわからないですけれども、あとから見たら冷静に整理されてるっていう感覚はわかります。

- 普段もそういうふうに作品をつくられることが多いんですか?

 

山下 やっぱりワークショップと作品づくりは違うよね。作品づくりのクリエーションではその場のメンバーによって険悪なムードになったりしても仕方ないんですが、最終的にお客さんを険悪なムードにしてはあかんので、作品づくりの計画はちゃんとします。でも、計画しすぎてあかんのかなぁ。前回のアトリエ劇研での公演「無門館の水は二度流せ 詰まらぬ」は、割とノープランです。

 

- しっかり骨組みがあるのだと思って観ていました。

 

山下 33年間いろんな人が使ってきて、もうこれは自分の手に負えないなと、直前まで苦しかったけれども、これは一か八かで失敗したとしても仕方ないと思いました。33年間続いてきた劇場が幕を閉じる瞬間というのは、僕が何か特に面白いことをやらなくてもそれだけで何か面白いことが起こるんじゃないかと。本番一カ月切っても出演者も決まってなかったし、それこそ流れに身を任せて、でも今回それがとても良かったんじゃないかなと思います。

願うことならば、ぎりぎりまで何も決めずにやりたい。ホームランか三振か、そういうところに追い込まないと面白いものは出てこない。

 

松縄 今のお話しや見せていただいた過去の作品の映像から、本当にどれもそれぞれが違う方向性だけれど、何が共通しているのかなと考えました。残さんの作品は、何かに委ねているような感覚がして、作者の手を離れているように感じられて面白いなと思いました。

特に、バリ舞踊のダンサーとの作品「悪霊への道」が気になったのですが、あれは本物のバリ舞踊の先生を呼んでいるんですよね。

 

山下 はい。バリから伝統舞踊のダンサーに来てもらって、2回バリ島を訪れて、そこでリサーチをして、この先生だ、という人に出会ったので、帰ってからずっとインターネット越しでスカイプレッスンをしていました。いざ作品をつくることになったときに、じゃあこの状況をそのまま舞台でやりましょうと、スクリーンを置いて、スカイプレッスンは録画と録音をしていたので、スクリーンに先生とのやりとりや、レッスンの中での言葉を映して、時々バリの映像も映しています。

 

松縄 そのシチュエーションを、初めてお客さんの前に取り出してみて、さてそこに何が起こるのか、というのが面白いなと思ったので、ぜひ観てみたかったです。

 

宮脇 設定している振付と即興は、ダンサーによってどう使い分けていますか?

 

山下 プロセスと、出来上がったものということですか?ダンサーによっては、本番当日舞い上がって違うことをやるような人もいるけれども、振付家としては、出来上がったものを淡々とやって欲しい。お客さんによって毎回違うというのを感じ取って欲しい。プロセスにおいては、あえて違うことをやってくれる人のほうが好きですし、ありがたいですね。作っていく中で、ぎりぎりまでせめぎ合いです。基本は、振付家とダンサーの関係は保っていきたいけれども、決まっている中で、「これやってもいいかな」というようなことをやってみて、あとで、振付家や演出家にダメ出しされなかったら、「あ、これはオッケーなんやな」と、リハーサルごとにどんどんやってくれる方がいいですね。それが最終的に全然原型と違うものになっていったり、振付家や演出家も最初言ってたのとちょっとずつ変えて違うものになったとしても良いと思います。でもそれが最終的に決まったとなったら、変えないで欲しいですけどね。(笑)それが、お客さんにとってどう見えるのかはわからない。振付られているのか、振付られていないのか。そういうのは、僕も見るのは好きだし、そういうところは舞台の醍醐味やと思います。本番までのプロセスと、本番を迎えてからというのは、観客の受け止め方以前に自分なりの拘りはありますね。

宮脇 ダンサーの責任ですよね。もらった振付にどう自分がなぞるかだけじゃなくて、自分の中に取り込むことで何が出せるか、模索していくことがダンサーでいることの醍醐味ですよね。

 

山下 ダンサーから学ぶこともとても多いですね。今日見てもらった作品で、伊藤キムさんの作品も、いろんなところでやっていて、一時間ずっと喋ってる作品なんですが、毎回違うんですよ。セリフに関しては、一切変えてないんですが、お客さんの雰囲気に合わせて、キムさんがちょっとずつ変えてるんですよ。声の出し方とか、ちょっとしたニュアンスで、クオリティを保つんです。だから、キムさんと一緒にやっていると、すごく勉強になります。クオリティを保つということを徹底的にやっている。例えば、あんまりお客さんが沸きすぎると作品が崩れるんですよ。ダンサーが出てきて、お客さんが沸いて、ダンサーも調子に乗ってしまう、そうして最終的な作品のリズムがガタガタになってしまう。終わってみるとあんまりいい評価じゃない。稽古場では割としんとした中でやっているので、そこで出来上がってるリズムがあるのですが、キムさんを見てると、お客さんの反応に合わせて調子に乗るんじゃなくて、作品のクオリティを保つということを微妙に調整しながらされているんですよね。そういうのが本当にいいダンサーだなと思います。自分たちが何回かリハーサルを重ねて出てきたいいなと思うクオリティが毎回本番でも保たれているんです。

ところで、今回の作品はどんな作品にしたいですか?

 

宮脇 ここで質問ですか?笑

 

山下 どんなことを期待しますか、山下残作品に。

 

宮脇 お客さんとの関係性です。残さんの作品のように上演中にお客さんの反応がもらえるというのは体験したことがないので。言葉か動きかわからないですけど、6期はいろんな国からダンサーが来ていてこれだけいろんな言葉があるのって今だけなので、そういう体験もいいなと、通じてないけど通じてる、みたいな。私たちの普段のコミュニケーションでもありますけど、間違ってフレンチで話されても、何言いたいかちょっとわかる、みたいな。そういう感覚がお客さんにも伝わったら、面白いかなと思います。

 

松縄 私もお客さんとの関わり方に興味があって、何かが残さんの作品の中で起こって、経験出来たら面白いなと思います。あと今回の稽古の中で「遊び」というキーワードが出ましたが、「遊び」というものをそのまま舞台に乗せたらどういう風にお客さんに届くのか。そんな瞬間に立ち会えたら面白いなと思います。

 

山下 なるほど。

 

宮脇 残さんは今回の公演に向けて挑戦したいことはありますか。

 

山下 そうねえ、考え中やね。あんまりこれというのは今のところ無いんですよね。とりあえずは全力で出来ればと思います。この度の公演は「国内ダンス留学@神戸」というプログラムのパーツではあるけれど、大体これくらいでえええんちゃうかな、という風にはしないようにしようと思います。出来てみて、あ、発見した!ってなるのが、いいですよね。奇跡が起きたなと思う瞬間に出会えたらいいですよね。でもそれって気合いが入ってても出てくるもんじゃないし、逆に気合いが抜けないようにしつつ、この3日間の稽古を終えて、まだわからないけれども、色々可能性はあるなと感じました。いいものが作りたい、いいメンバーが揃ってるなというのと、大体こんなことやろうかなと考えたところよりももうちょっと行けるなという、そういうプレッシャーとごちゃ混ぜの状況ですね、今は。

 

宮脇 楽しみです。今日はどうもありがとうございました。

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